州の運輸局(DOT)が、配車サービス会社UberとLyft2社に、ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港への送迎を許可する試験プログラムを6カ月延長すると決定。ハワイの複数のタクシー会社はこの決定に反発している。
DOTの広報担当ティム・サカハラ氏は延長の理由について、現行の空港のサービスに配車サービスが加わった場合のより多くのデータを州が集めるためだと話す。そのデータによって、DOTは配車サービスに恒久的な許可を与えるか、2002年以降変わっていない現在の規則を改正するか判断するという。「規則が制定された当時からは技術面や配車サービスの事情が大きく変化しています。UberとLyftばかりが注目されていますが、私達は全体的な検討も行っています」とサカハラ氏。
タクシー会社は猛反発、利用者は好意的
規則の改正の過程はおよそ4~6カ月かかると想定され、パブリック・コメントを受け付ける期間も設けられる。タクシー会社はこの過程に論争が飛び交うだろうと予想。しかしサカハラ氏は、昨年12月1日から開始され28日に終了した試験プログラムには、好意的な意見が多く寄せられたと話している。DOTによると、UberとLyftの2社はプログラム期間におよそ5万件の配車サービスを提供し、空港の指定エリア外で乗降させてしまったドライバーは5人しかいなかった。Uberハワイの運営マネージャー、タバサ・チョー氏は、ドライバーからも乗客からも圧倒的な高評価を受けたと話す。「今後もUberがホノルル国際空港で営業できるようDOTと空港スタッフと緊密な協力関係を維持していきます」と同氏。
一方タクシー会社ロバーツ・タクシーのオーナー、ロバート・ドゥルーズ氏は「大変に憤りを感じています。DOTは空港のタクシー運転手を破滅させています。収入が半減したドライバーもいるのです」と語る。同社に所属するおよそ125人のドライバーが、空港に乗り入れるタクシーを管理するAMPCO社のタクシー・スタンドを介して送迎を行っている。AMPCOのスタンドで待つドライバー達は、試験プログラムの1カ月目に送迎が8000件も減ったと話していたという。同氏と複数のタクシー会社は、試験プログラム開始後にDOTへ抗議を申し入れた。多くの同業者がプログラム延長に驚き、怒りを表しているという。
エコキャブ社のマネージャー、デイビッド・ジュン氏は、DOTがUberやLyftに通常の許可プロセスを課していないことに不服だと話す。タクシー会社はそのプロセスに従い混雑する乗車エリアをシェアしているが、2社は占有エリアを与えられ、空港料金設定の自由まで与えられていると指摘する。「DOTはタクシー乗車エリアの管理を他社に入札させる機会を与えずAMPCO社に14年間も独占させ、200人以上のドライバーを抑えつけています。彼らに恥という意識は無いのでしょうか」とジュン氏。
ザ・キャブ社CEOのハワード・ヒガ氏は、市や州が自由に市場に参入する機会を配車サービス会社に与えた場合、タクシーの管理は困難になると語る。同氏は「空港という全ての交通機関にとって最も利益が得られる場所から顧客が奪われれば、ビジネスに大きな影響を与えます。私もすでに利益やドライバーを損失しています」と述べた。ヒガ氏にとって最悪な局面は、試験期間の配車サービスの収益の報告を2社の自己申告に頼っており州が正確な状況を把握できないこと。サカハラ氏は、州が試験期間に2社から得た金額を報告できる段階ではないと述べている。延長期間中も2社はDOT空港課に設定運賃の7%を納める予定。
(日刊サン 2018.03.03)