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 州の運輸局と配車サービス企業がホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港で営業を許可する同意書を交わし、複数のハワイのタクシー会社が批判の声を上げている。UberとLyftは1日から3カ月間を試験期間として、空港で利用客を乗車させ運賃の7%を当局空港課に収める。ハワイで最大の配車サービス企業Uberは、ホノルルには2000人以上の登録ドライバーがおり、全員が空港で客を乗車させることが可能になったと述べた。

Uberの広報担当ジョン・アイザック氏は、同社と運輸局、空港運営スタッフは同意書締結に至るまで2年間に渡る「建設的な対話」を行ってきたと話す。同社はすでに全米の主要空港の30カ所と同様の同意書を締結しているという。「これまで乗客の皆様からUberはなぜ空港で利用できないのかとよく質問を受けていました。全米の主要空港ではUberの便利なサービスの需要が高まっています。ハワイの他空港でもライド・シェア・サービス受け入れが前進するよう願っております」と同氏は述べた。

ハワイ州運輸局のディレクター、ジェイド・ブテイ氏は試験プログラムがホノルル空港と利用客に有益であると予想している。「このプログラムで空港利用客には交通手段の選択肢が広がります。全体的な待ち時間が減少すると予想しており、プログラムの結果が今後の検討に役立ちます。私達は利用客や住民を含む全ての関係者にとって有益になるよう望んでいます」と同氏は発表している。

しかしタクシー会社からは同意書の締結は市民の声を無視していると、既に抗議の声が上がっている。「Airbnbのケースと全く同じです。賛否両論があり、一方の声を無視するべきではありません」と、500人のドライバーを抱えるザ・キャブのオーナー、ハワード・ヒガ氏は話す。同氏はデイビッド・イゲ知事が11月にAirbnbと租税同意書を交わす計画中だと知り関係者に衝撃が走ったのと同様に、タクシー会社も突然の動きに驚愕しているという。「私達が選んだ政治家が法を思うがままにしていると危機を覚えるべき状況です。タクシー業界はUberやLyftに反対していません。しかし、秘密裏に決められた不公平な規則や条令には断固反対します」と同氏。市と州が定める規則に公平性が欠けているためにハワイのタクシー業界が不利な状況になっていると加える。「ハワイで配車サービスが運営され始めてから私の会社のドライバーの数は40%減りました。売上げにして年間約200万ドルの減少です。全米中のタクシー会社は倒産が相次いでおり、そうでないだけ私は幸運な方です」

 

空港からワイキキへ、Uberは$24〜、 既存のタクシー$38〜、摩擦は必須

チャーリーズ・タクシーの代表デール・エヴァンス氏は運輸局に対しプログラムについて実施の根拠と局の権威を問う書面を送っている。「市民への情報提供が行われず透明性に欠ける状況で州が同意書を締結したと知り失望しております。タクシーや他の交通サービス企業は厳格なルールに則り空港で営業する為に料金を支払っています。空港課が同意書の内容を公開し(配車サービスと他の交通サービス業が)対等な立場で営業していると確実に示すことが重要ス業が)対等な立場で営業していると確実に示すことが重要です」と同氏は述べた。ホノルル空港で営業するタクシー会社は、事業保険に加入し、空港の出入りを送信する通信機を各車に搭載し、州が発行するステッカーを貼り、航空会社が発行する割引券を受け入れなければならない。さらに顧客対応トレーニングに参加し、車両の検査を受け運転手のドレスコードにも配慮しているが、UberとLyftに同様の要件を求めているかは疑問だという声が上がっている。

エコキャブのオーナー、デイビッド・ジャン氏は「Uberのような本土企業が、同形態の地元企業に課せられている規則を免除される理由がわかりません。地元交通サービス企業を優遇しろと言っているのではなく、同等の扱いを求めているだけなのです」と述べた。

ヒガ氏はタクシー会社に市が定めたメーター料金で営業しなければならないのに対し、配車サービスが料金を自由に設定できることにも抗議している。

Uberは需要に基づいた料金設定を行い、通常空港からワイキキへの料金は24ドルから。一方タクシーの場合は38ドルから48ドルかかる。運輸局の広報担当ティム・サカハラ氏はUberとLyftは事業保険に加入する予定だが、試験プログラム中ステッカーや通信機は導入しないだろうと話す。「必要があれば試験中にプログラムの内容を更新します」と同氏。

UberとLyftは空港2階の州内線ターミナルの第2ロビー前と国際線ターミナル第8ロビー前の指定された2カ所でのみ利用客を乗車させる。運輸局は乗車エリアを黒い縁石で示し「Uber/Lyft」と表記するという。また配車サービスの客待ちや呼び込み行為を禁じ、指定エリア以外で乗車させた場合は違反行為になると述べた。

 

(日刊サン 2017. 12. 09)