オアフ島のサンド・アイランドでは、サンゴの専門家と技術者のチームが何年もの間、白化の危険にさらされている成長の遅いサンゴ礁の修復に取り組んできた。 ハワイのサンゴは、世界中のサンゴと同様に、気候変動による白化の脅威にさらされている。白化は、海水温が高くなりサンゴが死に、組織内に生息し、食物を供給する藻類が働きを停止するために起こる。
2016年に始まった水産資源部(DAR)のアヌエヌエ・サンゴ修復養育所の作業は、世界で最も成長が遅いハワイのサンゴに特定したものである。 「フロリダでは、サンゴは年間15〜20センチメートル成長し、オーストラリアでは年間20〜25センチ成長する。ハワイのサンゴは数百歳をかけ1メートルに成長する」とDARのサンゴ生物学者のデイブ・グルコ氏は述べた。
サンゴ礁は、数千の海洋種に重要な生態学的環境を提供し、同時に重要な経済的価値も持っている。国立海洋大気局は、ハワイのサンゴ礁の総経済価値を330億ドル以上と推定している。
養育所は小規模で、その7人のスタッフは、少数の学生とボランティアとともに、屋外で、数十種類のサンゴの切り取り、生育、実験を行っている。 固有のサンゴの破片を切り取り、数十個の小さな破片に切断する。
その組織が30日間きれいな状態で生存すれば、次にそれらを粉砕する。そして、ピラミッド形に作られたセメント製モジュールに数センチメートル間隔で移植し、理想的な環境のタンクの中で8カ月から1年をかけて成長させる。
破片が成長しセメント・モジュールを覆い、単一のコロニーを形成したら、モジュールを屋外に配置して、ゆっくりと屋外条件に順応させ、最終的に海に戻す。 自然のサンゴは1年で1センチ成長するが、この工程のサンゴは、1年で約40センチ成長する。
養育所では、年間に80のモジュールを設置しているが、数か月以内に新しい施設が出来れば、年間200を超えるモジュールの設置が可能になる。 養育所は、別の重要なプロジェクトにも取り組んでおり、非常に珍しい固有のサンゴ種の養育、サンゴ幼生を使用してサンゴを急速に成長させる方法、サンゴの成長が早いモジュールの特定等も研究している。
(日刊サン 2019.09.21)