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Pacific Buddhist Academyで 和の心を伝える、新しい茶室開き

Bynikkansan

3月 23, 2018

先週末、パシフィック・ブッディスト・アカデミー(PBA)で、『清風庵』の茶室開きが催された。PBAはダウンタウンに近い山の手のヌアヌ地区にある、ハワイで唯一の仏教系私立高校だ。浄土真宗本願寺派だが、仏教を教えるというのではなく、人への思いやりや倫理などを大切に指導し、教育レベルの高さにも定評がある。プリスクールから中学までのホンガンジ・ミッションスクールとは提携関係にあり、日本の学校との連携も多い。授業の一環に茶道を取り入れ、表千家の茶道家であるマリオン・ヤスイ先生が指導している。茶室開きのお祝いはハワイ本派本願寺の松本エリック開教総長が挨拶。裏千家ハワイ出張所の村田宗仁駐在講師ご夫妻も臨席し、新しい茶室でお点前にあずかった。

 

 

表千家同門会ハワイ事務長の五十嵐敦子さんは、生徒らのお点前を愛おしそうに見守りながら、次のように語った。「10年ほど前からお茶室を作る構想があり、やっと完成してほっとしています」 茶道はお茶をいただくだけでなく、書道、花道、陶芸、漢詩や和歌など、さまざまな日本の美が融合した総合芸術だ。そして究極のおもてなし、一期一会を大切にする人と人との有り様を学ぶ場でもありる。抹茶ラテや抹茶入りスムージー、抹茶味のケーキなど、matchaが世界中で大人気の今、一人でも多くのハワイの方に、本物の抹茶を体験してほしいと関係者は話す。床の間には、「松老披五雲」(ろうしょうごうんをひらく)。 「めでたい老松の上に五色の雲がたなびいている。常住なる真如の無限に展開するはたらき。いやがうえにもめでたい光景。といった意味で使わせていただきました」新しい茶室を寿ぐにふさわしい禅語だ。立礼(りゅうれい)という、椅子に座ってお点前をし、お客も椅子でお茶をいただく形式の部屋では、PBAの8年生、9年生の生徒たちがお点前や解説、お運びなどをした。ハワイ特産のコアの木で特注して作られた立礼のしつらえに、は赤い野点(のだて)傘。

 

 

野点とは屋外で季節や自然を楽しみながらお茶をたてること。傘は日よけと風情を添える。古くは北野大茶湯において朱傘を立てた茶席を設け、主催した豊臣秀吉を大変喜ばせたと記録に残っている。そんな立派なお道具とお客さまの前で、静々と進むお茶会に生徒たちは真顔でとても緊張したようす。終わった途端、裏の水屋に駆け込んできて安堵の大爆笑。本物の茶道体験は生徒たちを豊かに育んでくれたようだった。

(取材・文 奥山夏実)

 

あなたも茶道を体験してみませんか?

〈表千家〉

ハワイ日本文化センター内にある茶室『星光庵』を借りて、毎月3週目の土曜日の午後1時半から土曜掛け釜というのを行っています。作法を知らなくても、どなたでも気軽にお茶を体験することができます。予定が動く事もありますので、どうぞ電話にてご予約ください。お茶とお菓子代$5です。

予約・問合せは808-521-4139へ。

〈裏千家〉

裏千家の出張所のある茶室『汎洋庵』では、毎週水曜日に一般向けの茶道デモンストレーションを実施しています。開始時間は午前10時〜、午前11時〜の2回、基本的には事前予約制ですが、当日のウォークインも可能です。清潔なソックスの持参、お茶とお菓子$5~の寄付をお願いしています。 お茶に興味がある、稽古に通ってみたい方は稽古の見学もできます。

予約・問合せは808-923-1057へ。 

 

(日刊サン 2018.03.23)