ハワイ最大の保険会社ハワイ・メディカル・サービス・アソシエーション(HMSA)が、非営利団体が支払った保険料のうち年間2000万ドルが『過剰で不必要な費用』であると発表した。政府の公的医療保険制度が適用されるにも関わらず非営利団体が保険料を支払い透析患者を民間保険に加入させているケースを指摘している。HMSAは来年2月1日以後、特定の第3者機関からの医療保険の支払いを禁止する方針に転換する。
HMSAによれば、透析患者の経済的負担を軽減するアメリカ腎臓病基金のような非営利団体によって医療費負担適正化法(ACA)プランの保険料が支払われている加入者は約120人。「政府の健康保険プラン、メディケアやメディケイドが適用される人達が非営利団体を通じ、民間の保険に加入しています」と、HMSAの広報担当エリサ・ヤダオ氏。民間保険は政府の医療保険よりも補償の割合が高い。
HMSAは、ACAプランの加入者約18000人に不必要な2000万ドルのコストが転嫁されると話す。このプランの2018年度の保険料は19.8%値上げされることが決まっているが、この値上げの要因の半分は、非営利団体から保険料が支払われている患者に関連したコストだという。「余分なコストが積み上がっているのです」とヤダオ氏は付け加えた。
ニューヨークタイムズ紙は12月にアメリカ腎臓病基金(AKF)の内情を調査。同紙のレポートによれば、AKFは腎臓病の診療所に寄付を強要しているという。AKFと腎臓病業界の間には「クリニックが基金に寄付し、クリニックは慈善団体に支払われた医療保険を持つ患者を治療。保険会社から医療費を回収して、本質的には安定した金銭の流れを保証する」という取り決めがあると同紙は述べる。慈善団体は腎臓病協会に寄付していないクリニックに通う患者への支援に抵抗を示しているとも報じた。
AKFの広報担当タマラ・ルッジェーロ氏は、HMSAが慈善行為をゆがめていると非難。年間2億5000万ドルという国内最大級の予算を持つこの非営利団体は、昨年ハワイの透析患者3600人のうち約800人に対しメディケア、ACAを含むあらゆるタイプの医療保険の経済的支援を行った。同氏は、800人の患者は慈善団体の支援がなければ保険料を負担できないと話す。AKFは治療を続けるために支援を受ける患者の権利を議会に訴えているという。 HMSAは2月1日の新方針以降は、保険料は家族、雇用主、政府プログラム、インディアン部族、宗教的なプログラム、健康保険プランの払い戻しを受けた機関から金銭を受け取らない非営利団体しか支払えなくなると発表。該当しないHMSA加入者は補償を失わないよう1月31日までに代替の支払い方法を探さなければならない。
(日刊サン 2017. 11. 18)