市中心部を通る最後の4マイル区間の建設に、官民提携(P3協定)を導入するという計画が発表された。
ホノルル高速鉄道公団(HART)のアンドリュー・ロビンス理事長は理事会に対し、「P3では建設費または運用コストが高すぎる可能性があるが、P3が失敗した場合には、実行可能な代替案は少なくとも2つはある。2025年の終わりまでに20マイルの全区間を完成できる」と説明。
しかし、連邦交通局(FTA)コンサルタントのヒル・インターナショナル社による最新の報告書によると、HARTは連邦政府に対し、「現時点では代替案の実行は不可能であり、P3が成功するのを信じるだけである」と述べている、という。
ロビンズ氏は、「当時の発言は、P3の第2フェーズ発表前であったためになされたもので、実際には代替案は不要である。なぜなら、入札価格が高すぎる場合は、資金調達方法を変え、設計を変更し建設コストを削減できるからである。また、入札業者は積極的に契約を競っていることもあり、このことからも代替案は不要だと考えている」とコメントしている。
提案されたP3の総工費は、市政史上最大の14億ドルで、対象は、4.1マイルの高架橋、市中心部の8つの駅、パール・ハイランド・トランジット・センター、1,600台収容の駐車場が含まれる。また、HARTの運用・保守の年間コストは、2026年に1億3,700万ドル、2036年には1億6,900万ドルになると見込まれており、30年間の総額は、40億ドルとなる予想。P3の落札業者は、上記の建設とHARTの運用・保守を任される。
ロビンズ氏の最近の理事会での説明によると、P3に対し数百社の入札業者からの問い合わせがあり、入札期限の延長を求める要望が多くあったため、締め切りは12月6日から2020年1月29日に、業者決定は同年2月23日に延期されたという。
この総工費92億ドルのプロジェクトでは以前、「デザイン・ビルド方式」(設計と建設を一つの業者に任せる方式)が採用されてきたが、設計変更には莫大な費用がかかり、予算超過の原因となってきたため、2015年12月にこの方式は凍結された。2018年秋の理事会にて、この区間でのP3方式が採用されることが決定。P3方式は、ギャンブルであると反対する理事がいたが、支持派は、落札業者が変更命令やその他の予期しない費用を負担することになり、リスクをP3請負業者にシフトできるとした。
HARTのコンサルタントは、P3の活用で市は、建設費4,600万ドル、維持管理費3億ドルを節約できると見積もっている。一方、FTAはP3の進捗状況を注視しており、その落札結果を見て、保留している連邦資金7億4400万ドルの拠出を決定する。
しかしヒル社の報告書は、入札額が市の負担範囲を超えた場合は、従来の「デザイン・ビルド方式」の入札に戻ることになると指摘。
これに対しロビンズ氏は、P3の入札単価が高すぎる場合の対応について、(1)資金調達が問題であれば、公と私の資金分担の割合の変更を考え、(2)設計・建設費用に問題があれば、設計内容の変更を検討する、とし、都度柔軟に対応できると述べている。
(日刊サン 2019.11.2)