ハワイ州立美術館では、4月5日からContemporary Stained Glass Art(CSGA)の日本人アーティスト11人によるステンドグラスの展示会が開催されている。今回は、CSGA主宰でステンドグラス・アーティストの大浦容紫子さんに、ステンドグラスを作るようになった経緯やその魅力などについてお話を伺った。
大浦さんがステンドグラスを作るようになったきっかけは、イタリアのベニスで学んだヴェネツィア・グラスだった。大浦さんが学んだベニスの学校では、デザインのみで製作はムラノ島の職人が行った。しかし、製作にも携わりたいと思った大浦さんは、その後デザインと製作の両方を習えるピサの学校に転校。そこで、伝統あるトスカーナのステンドグラスに出会い、魅了された。ヴェネツィア・グラスの製法はソーダガラスを使用した吹きガラスであるのに対し、ステンドグラスはより時間をかけてデザインを考え、製作することができるという点にも惹かれた。
日本でステンドグラスというとランプシェードなどが思い浮かぶが、大浦さんは、ステンドグラスの魅力をコンテンポラリー・アートとして日本に紹介したいと考えた。平面のガラスを作るだけでなく、それを組み立てて立体的に設えていく作品も多く製作。大浦さんが手がける前衛的でありながら繊細さを感じさせる作品は、東京都知事賞を受賞したり、パリのルーブル美術館に出品されるなど、世界的に高い評価を受けている。
ステンドグラスの魅力といえば鮮やかな色や緻密なデザインだが、もう1つの魅力は、ハンダを使ってパーツを繋げるなど男性的な作業の多い製作過程と、出来上がった作品が醸し出すガラスならではのあやうさや、女性的な雰囲気のコントラスト。大浦さんは「壊れやすい性質もステンドグラスの魅力の1つ。たとえ壊れても部分的に外すことができるため、すぐに修復できるのもステンドグラスの特長です」と語る。
今回行われているハワイ州立美術館の展示会は、ハワイ東海インターナショナル・カレッジのリンダ・フジワラさんの橋渡しで実現したもの。大浦さんは「ハワイといえば海に囲まれたリゾートというイメージしかなかったのですが、実は結構アートが盛んで、興味を持つ人が多いということを意外に感じ、嬉しく思いました。今回の展示会で、地元の方々にステンドグラスの魅力を少しでも伝えられたらと思っています」と語った。
Contemporary Stained Glass Art Japan展示会は5月30日まで開催されている。その他の詳しい情報は、下記ウェブサイトへアクセスを。 (文・取材 佐藤リン友紀)
ハワイ州立美術館
Contemporary Stained Glass Art
ガラス工房ジーラソーレ
ハワイ州立美術館に展示中の作品
(日刊サン 2019.04.20)