バケーション・レンタル仲介業者のエアービーアンドビー(Airbnb)が昨年州に代わって税金を徴収していたならば、6千4百万ドルのホテル・宿泊税と物品税の歳入があったであろう、と同社は発表した。 同社のハワイの公共政策責任者、マット・ミドルブルック氏は5月15日、デイビッド・イゲ知事への書簡の中で、上院法案1292号に署名し、Airbnbや他のバケレン仲介業者を州の代行として同税の徴収を行わせるように要望した。
また、同法案は、ホームアウェイ、トリップアドバイザー、VRBOなどのバケレン仲介業者にも同税の徴収を義務付けるもので、税収は6千4百万ドルを大幅に上回ると考えられると指摘した。 この計算は、同社の2018年4月1日から2019年3月31日までのハワイでの取引額に基づいたものである。
しかし、その6千4百万ドルの内のいくらが、Airbnbの関与なしに既に支払われているかどうかは不明である。同社はその傘下の全てのバケレン運営者が州税を支払ったわけではないと認めているが、多くのバケレン運営者は、仲介業者を介さずに、すでに州税を申告し・支払っていると主張している。
ハワイ州観光局の調査によって、Airbnb、ホームアウェイ、トリップアドバイザー、VRBOが広告・宣伝した州の3万件以上のバケレンが特定されている。 上院法案1292号は違法なバケレンを擁護することになるとオアフ島の住民から批判が出ているにも関わらず、州の予算収支を保つための歳入増を期待した州議会は同法案を可決した。
アメリカ・ホテル&ロッジング協会ハワイ支部の広報官ケコア・マククレラン氏は、「この法案は、Airbnbが何年もの間望んでいたことで、バケレン仲介業者を保護し、地域社会に害を与えている違法なバケレンの違法行為を隠蔽することになる」と述べた。 イゲ知事は2016年、上院法案1292号に類似した法案に拒否権を発動し、1292号法案に対しても同様の反対意見を表明した。知事は同法案と関連法案を吟味中で、拒否権を発動するかどうかについては6月24日までに発表するとのこと。
一方、バケレン仲介業者も同法案に対し反対の姿勢を表明していた。 同法案では、バケレン運営者が、州の税務当局に名前と物件の住所を提供する義務があるが、Expediaの広報担当者によると、バケレン仲介業者は連邦ストアド・コミュニケーションズ法により、その顧客情報を機密扱いすることが求められており、州が情報提供の召喚令状を取得しないが限り情報を提供できない。 Airbnbは先月の公聴会で同様の懸念を表明していたが、5月15日広報担当者を通じて、同法案を遵守するとの声明を出した。
(日刊サン 2019.05.25)