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高級コンドミニアム開発業者が、保険会社7社を提訴

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 ハワイで最も洗練された住宅をうたうコンドミニアム『ワイエア』の建設を巡る訴訟問題は、複雑に絡み合い巨大化の一途を辿っている。カカアコのワードビレッジに立つ36階建てコンドミニアムの開発業者ハワード・ヒューズ社は14日、昨年ワイエアが完成前に負った浸水被害の補償について保険会社7社を提訴した。ヒューズ社は、保険会社が雨水による被害の補償金150万ドル以上の支払いを避けようとしていると主張。対して保険会社は、その被害が台風に起因するため高額損害の免責が適用されるとしている。

 ヒューズ社は11月21日にも建設業者のノルディックPCLコンストラクション社に対し、基準以下の施工内容と完成期限の超過、予算の超過を理由に7500万ドル以上の損害賠償を求めて訴訟を起こした。ノルディック社は12月1日に予算と期限の超過の責任は開発業者が負うものであると反論し、ヒューズ社が代金3970万ドルの支払いを拒んでいると主張した。下請け業者として建設に参加したクリッチフィールド・パシフィック社とBEK社も代金が未払いであるとヒューズ社を訴えている。

 ヒューズ社が相手取った保険会社は、ペンシルバニア州のエース・インシュアランス、イリノイ州のアリアンツ・グローバル・リスクス、デラウェア州のノース・アメリカン・エリート・インシュアランス、プリンストン・エクセス・アンド・サープラス・ライン、ロイズ・オブ・ロンドンの提携保険会社、イリノイ州のスター・サープラス・ラインズ・インシュアランス、アリゾナ州のアイアンショア・スペシャリティ・インシュアランス。

 争点となっている浸水被害は、コンドミニアム完成5カ月前の2016年7月24日夜に起きた。州の巡回裁判所に提出された文書によると、雨水が屋根の排水溝からあふれ建物内に浸水。開発業者は保険会社に補償を求めたが、査定人は被害の原因は台風であるため多額の免責金額が適用されるとした。台風による損害は開発業者が契約した保険の補償対象であるが、被保険物件の資産価格2%相当の490万ドルが免責金額として設定されている。巨大台風による損害は補償額も莫大になる可能性が高いため、このような免責条項が設定された。さらにワイエアの保険内容には、水害による損害には10万ドル、降雨を原因とする損害には25万ドルの免責金額が設けられている。

 ヒューズ社は台風が浸水による損害の直接的な原因ではないと主張。台風の定義は最大風速が34ノットまたは時速39マイルを超える場合と定められているが、7月24日の降雨時にはこの風速まで達していないと述べた。しかしアメリカ海洋大気庁(NOAA)が発表した2016年11月のレポートには、風速は7月24日から25日午前6時まで35ノットで、25日正午に30ノットに収束し熱帯低気圧となったと記録されている。

 ヒューズ社はワイエア付近の風速は台風の定義に満たなかったと法廷で反論。さらに訴訟では、暴風雨によって起きた水害が水害免責の対象から除外されると保険会社が明記していない事も言及された。原告側は「被告は『水害』の定義から暴風雨が原因とされた場合を除外することもできたが、そうしなかった。従って該当の損害は水害によるものであり、水害の免責金額が摘用されるべきだ」と主張した。

 

(日刊サン 2017. 12. 29)