今年ハワイでも裕福なエリア、イースト・ホノルルの75エーカーが38万ドルで売却された。購入されたのはアイナ・ハイナの東側から高級住宅地ハワイ・ロア・ロッジまで広がる斜面。この土地は数年前2百万ドルで売り出し始めたが、キアヴェと藪に覆われた谷壁という未開発のエリアだったため買い手が付かず、売出価格は徐々に値下げされていた。
土地を購入したのは、版権フリーの歴史的な書籍、古典文学、オンラインで書籍などを提供しているワールド・ライブラリー財団。2万ドルの寄付を上乗せして40万ドルで落札した。土地を管理する組織として『ハワイ・ロア・リッジ・プリザーブ』が結成され、10月に非営利団体として認定された。ハワイ在住で元文学教授、同財団のメンバーでもあるジョン・ワイリャルド氏が同団体のエクゼクティブ・ディレクターに就任。「保存地区は一般に公開しないことを明確に断言します。土地の不適切な使用を避けるため、断固立入りは拒否します。このエリアの交通量は増加させません」 と同氏。購入された土地は184プウイケナ・ドライブと住所登録され、保存地区としてゾーン認定された。
ゲートを構え、閉鎖された住宅地としてハワイ・ロア・ ロッジが開発された1980年代から、アサートン・リチャーズ・トラストが所有されたアイナ・ハイナ側の75エーカーは放置されていた。開発時に2本の雨水放水路が作られたが、次第に芝や小枝で詰まってしまった。ハワイ・ロア・リッジ・プリザーブとボランティアが土地の清掃作業を行い、がけ崩れや浸食管理、固有植物の復旧等のリスク評価を算定。突然の活動にアイナ・ハイナ住民の関心も寄せられるようになった。ワイリャルド氏は10月のクリオウオウ/カラニ・イキ近隣委員会で活動について報告。これからも毎月続けていく予定だという。
一見すると資産というよりも負債になるような土地をなぜ団体が購入したのか、理解するのは困難だ。文学に貢献する組織の奇妙なミッションのように見えたが、ワイリャルド氏はワールド・ライブラリー財団が地域の保存活動も行っていると述べた。
非営利団体のボランティアオフィスのマネージャーで、ハワイ大学の学生コーラ・イエチャド・リモケット氏は保存地区の境界に住むアイナ・ハイナ住民に調査結果を送付。団体の懸念事項と土地の歴史を探求したい意向を伝えた。「私達は固有植物の調査と、斜面の修復を目的とした、1 年間の試験プロジェクトを行いたいと考えています。何の植物がこのエリアで育つことが出来るのか、どの固有植物ががけ崩れを緩和し浸食を管理できるのか探りたいのです」。また、住宅と斜面の間の植物を伐採し、20フィート幅の防火帯の設置も望んでいるという。ワイリャルド氏は「私達が現在実行したいのは、保存地区を調査し評価することです。結果がどうであれ対応します。知るべきことに目を向けないままでいれば、必ずトラブルが起きます」と語った。
(日刊サン 2017. 11. 25)