エヴァ・ビーチのホアカレイ・リゾートにある52エーカーのワイ・カイ・ラグーンの水質は他のスイミングスポットよりも良いとされているが、州はここでの遊泳を望まないようだ。5月初めに州の保健局はホアカレイの開発業者、長谷工ハワイに対し、ラグーンでの遊泳を許可すると公用スイミングプールの違法営業にあたると警告した。開発業者はこの人工湖沼を娯楽的ラグーンと銘打っていたが、当局はおよそ1500戸のホアカレイの住民に遊泳禁止を周知するよう長谷工ハワイに命じた。 貯水池で遊泳させた場合の罰金は1日につき最大で1000ドル。長谷工ハワイは「遊泳禁止」の看板を設置し、浮き具置き場を撤去した。ラグーンの水質の良さを楽しんでいた住民の中には、州の対応に動揺する人もいる。水質を検査した研究者は、ラグーンは水質が優れているだけでなく特殊なエコシステムを備えていると語る。
ラグーンの底から塩分を含んだ水が湧き出ており、ラグーンの水底の80~90%を占めるハダシシャジクモは水をきれいにするフィルターの役割を果たす。2014年に公表された環境評価書によると、毎日およそ250ガロンの地下水が海へと流れ出て新しい地下水に替わっているという。大半のビーチよりもきれいな水質であるとされ、ティラピアや固有種のカタツムリも生息している。しかし人が遊泳するとなれば、ハワイ行政規定で定められた人工構造物において遊泳を提供する場合の規則を遵守する必要がある。公用スイミングプールは保健局の許可を取得し、最低6時間に1度は全ての水を交換、水底が確認できるような色彩の明瞭なオブジェクトを設置する等の基準を満たさなければならない。ラグーンの水量はおよそ3億ガロンで、約20フィート下の水底は海藻で覆われている。
長谷工の副社長シャリーン・サイトウ・タム氏は、州の警告に驚いている。同氏が知る限り、地下水で満たされた人工ラグーンがスイミングプールとして規則を適用されるのは初めてのケースだという。当初、長谷工はラグーンをボート・マリーナにする予定だったが、ボート利用者市場の成長が見込めないことや環境面での反発を懸念し、カヌーやパドルボード、カヤックといった原動機の付いていない水上の乗り物が楽しめる娯楽ラグーンにすると2011年に発表した。保健局の規則に則り、今後もこれらの乗り物は利用可能となる予定。長谷工はラグーンに隣接して1エーカーのスイミングスペースの建設を予定しているが完成は2020年以降となる。一般的なプールも砂浜の隣に建設する予定で、現在デザイン段階だという。
(日刊サン 2018.06.02)