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長谷工がエヴァのマリーナ訴訟で再び敗訴

州裁判所が29日、エヴァ地域の中心となるボート・マリーナを建設途中でラグーンに変更する行為に、開発業者オーシャン・ポイントとホアカレイ・リゾートに対し住宅所有者へ2000万ドルの賠償を支払うよう判決を下した。

 

巡回裁判所裁判官カレン・ナカソネ氏は、2年前の他の州裁判官が下した約3000人の住宅所有者を対象にした賠償金2700万ドルの判決を無効とし、今回の賠償額を言い渡した。新しい判決の賠償金額は減ったが、長谷工ハワイ社とその提携企業が住宅購入者を欺いたとする判決内容に変更は無い。

 

日本に親会社を持つ長谷工は、1988年に1100エーカーの開発プロジェクトを引き受け、1990年代から2011年までボート・マリーナがコミュニティの中心的アトラクションとなるとうたい、総額10億ドル以上の住宅を売り上げた。同社は法廷で購入希望者に伝える計画内容は保証されているわけではないと反論したが、ナカソネ裁判官は、マリーナをうたう宣伝活動の規模を鑑みても免責条項が不十分だと判断。住宅購入者がサインする文書の1つの免責条項には「計画内容がコミュニティ内に実現しない可能性や、変更される可能性がある」と書かれているが、裁判官はマリーナが計画されただけではなく契約時に既に建設中であり開発業者はコミュニティの中心的施設が完成されない可能性については触れていないと述べた。判決では「現在建設中の施設が計画内容と異なる可能性があるという文と、建設中の施設が全く開発されないか完成しない可能性があるという文は実質的な意味が異なります。誤解を招く内容です」と述べられた。

 

住宅購入者の損害は微妙

長谷工ハワイ社の代表トム・サガワ氏は、判決が大変に遺憾であると表明。同社は控訴する構えだと明かし、5年前から始まった訴訟はあと数年間長引くことになりそうだ。開発業者はラグーンへの変更を2011年に公表し、住宅を購入した9人が2013年に集団訴訟を起こした。2015年の判決では、損害賠償として700万ドル、懲罰的賠償金として2000万ドルが言い渡された。しかし1カ月後巡回裁判所のゲイリー・WB・チャン裁判官は、州法は詐欺的商行為に対し懲罰的賠償金を認めていないとし、賠償金額を無効に。さらに長谷工の計画変更により住宅購入者が負った損害を示す証拠が不十分だと述べた。昨年の裁判でナカソネ裁判官は計画変更によって長谷工が不当に利益を得たかという点を含む、チャン裁判官の法廷で取り上げられなかった側面を審理。長谷工は10億ドルの販売を終えた後にラグーンに変更した事で、マリーナより建設費用が抑えられたと判断した。長谷工側は、マリーナの建設費用が8000万ドルなのに対しラグーンは8700万ドルかかると反論。ラグーンの方が早期に完成し、より良いボート停泊設備が提供できると加えた。

 

ナカソネ裁判官は判決文で、長谷工はマリーナよりもラグーンの方が収益性が高いと考えており、不当にボート水路の建設費用2000万ドルを浮かせたと述べた。住宅所有者への2000万ドルという賠償金額は、長谷工が計画変更により得た利益相当額として設定された。原告側が要求していた額は1億3000万ドル。判決では、住宅所有者は2000万ドルを分け合うか、住宅の購入を無効とし支払額に利子、税金、弁護士費用を加えた額の返金を求められると言い渡された。

(日刊サン 2018.02.14)