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鉄道計画の影響で低価格住宅開発に暗雲

Robert Cravens / Shutterstock.com

 

サムクー・パシフィック社はアラモアナ・センター近隣のコナ・ストリートに低価格ユニット310戸を含むコンドミニアム・タワーの建設を来年早期から始める予定。

 

この建設予定地はカーク・コールドウェル市長が低価格住宅を含む駅と直結した複合施設の建設地として狙いをつけていた場所であり、ホノルル高速鉄道輸送機構(HART)が市鉄路線をハワイ大学マノア校まで延長する際のルート候補の1つが通過する場所でもある。韓国企業の系列会社であるサムクー社は数年前、アラモアナ駅直結の高級コンドミニアム・タワーを建設する予定だった。しかし市の要件や計画の遅延、高級コンドミニアム市場の弱体化を理由にこの計画を破棄。昨年HARTが駅の建設予定地を変更したのに伴いサムクー社もタワー計画を見直し、513ユニット中310ユニットを中間年収層に割り当てる『セントラル・アラモアナ』を建設する計画が打ち出された。しかしコールドウェル市長は昨年12月、サムクー社に駅建設予定地と隣接した不動産に、よりユニット数の多いコンドミニアムを含む駅複合施設を開発しないかと持ち掛けた。「突然の話に驚きました」と、サムクー社のコンサルティングを担当するローウェル・チュン氏。開発会社、市当局、鉄道、三者いずれも流動的コールドウェル市長は2019年度の予算案にアラモアナの『交通網拠点プラザ』を確保するため民間不動産を接収する予算として6000万ドルを組み込んでいる。現在対象の不動産は特定されていないが、低価格住宅を官民提携で建設する可能性も含まれる。

 

チュン氏は、隣接する不動産を所有し開発同意書を得るのに多大な年月を要すると考え市長の案に反対している。一方HARTは鉄道をハワイ大学まで延伸するプランを数案掲げており、そのうちの1つはサムクー社のセントラル・アラモアナを通る。他の案が採用される可能性があるとしても、オアフ島の高まる住宅価格の中で、サムクー社の計画の大きな不安材料となっている。1月23日に開催された市の計画委員会の後には、市議会議員から鉄道延伸のために低価格住宅300ユニット以上を失うのは反対だという声も聞かれた。イカイカ・アンダーソン議員は、数千人の駅利用者の客足が見込めることから鉄道をアラモアナ・センターに通すことが好ましいと述べた。サムクー社代表は計画中のタワーがアメニティの質や居住面積を犠牲にしない低価格住宅であると語る。タワーにはプールやフィットネス・センター、ドッグ・パークが含まれ、ユニットは400スクエア・フィートのスタジオタイプから1500スクエア・フィートの3ベッドルームタイプを備える。価格はスタジオタイプが28万ドル、3ベッドルームタイプが70万ドルと想定されている。市場価格が設定される202のユニットは58万~140万ドルで販売予定。ハワイ住宅金融開発公社と市議会から建設に関連した承認が今年夏に得られる見込みで、年末から来年初旬には建設を開始される予定。

 

(日刊サン 2018.04.07)