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溶岩観測所の設立が ハワイ島観光の後押しとなるか

Bynikkansan

6月 23, 2018

U.S. Geological Survey

 

州や郡当局がプナ地区住民の避難を進める中、観光当局は火山活動による裂け目を観察できるエリアの創設に乗り出している。 プナのレイラニ・エステート地区で5月3日にキラウエア火山の噴火活動が発生し、恐ろしい光景が広がった。現在まで20の裂け目が形成され火山ガスを噴き出し、溶岩は海へと流れ出し600戸以上の住宅が被害にあった。溶岩流は破壊的である一方、自然の驚異を目の当たりにする貴重な機会でもある。ハワイ島観光局のディレクター、ロス・バーチ氏は観光客が違法に火山にアクセスして逮捕されている事態を取り上げ、溶岩流の観察への高い需要があると述べた。州の土地自然資源局は、避難を拒否したカップルやポホイキ・ボート・ランプに停留したボート・オーナーに違反切符を発行している。 郡や州の観光関係当局は裂け目が発生したエリアに観測所を設けることで、違反行為を減少させるとともに、火山公園の3分の2が閉園され鈍化を見せる観光に刺激を与えることができるかを検討している。観測所のモデルや建設予定地は決まっていないが、バーチ氏はマウナ・ケア山頂の訪問制限を指標とするだろうと話す。避難が完了し空いた地区が観測所となる可能性もあると加えた。「プライバシーを尊重と安全を考慮して、住宅が焼ける様を見学させたくはありません。一方で歴史的な現象が発生しており、人々はそれを目にしたいと望んでいます」と同氏。 今回、ハワイ観光局(HTA)は緊急マーケティング費用として50万ドルを拠出したことと、クルーズ船のハワイ島への寄港を再開させたことで数千万ドルの損失を回避したと見られている。5月と6月のアメリカ本土と日本からの訪問者数は増えたが、7月には10~20%の下降が予測されている。

 

ハワイ・ツーリズム・ジャパンのディレクター、エリック・タカハタ氏によるとHTAの緊急拠出のうち25万ドルを使用しソーシャル・メディア・キャンペーンを展開。火山関連に替わるアクティビティを模索している。タカハタ氏は、日本も火山の多い国であるため日本人旅行者は噴火に対してさほど抵抗はないが、むしろ国立火山公園や溶岩を観光できないことによって旅行先を変更していると述べた。 一方アメリカの旅行者は火山活動に敏感なようで、ハワイ・ビジターズ・コンベンション局(HVCB)のデータベースによるとアメリカの旅行会社に勤める対応者の7割近くが火山について問い合わせを受けたという。10%がキャンセルを受け、35%が今後の予約の減少を懸念している。 HVCBはソーシャル・メディア・キャンペーンの#exploreislandofhawaiiで、ハワイ島の観光が制限されているイメージの払拭に努めている。ハワイ島の観光客の携帯電話に広告を展開し、最近訪れた人にターゲット広告を打つ予定。 18日にはハワイの火山専門家が質問に答えるイベントを開催し全米規模のメディアで発信した。

 

(日刊サン 2018.06.23)