11月20日、在ホノルル日本国総領事館が年に一回主催する、『第25回 安全対策連絡協議会』が開催された。 出席者は、日本ハワイ旅行業協会、日本クラブ、JALホノルル支店、ハワイシニアライフ協会、レインボー学園、聖ルカクリニックなど、日本人観光客や、日系のハワイ在住者に関係の深い企業・団体の代表者ら。日刊サンやKZOOラジオなど、メディア関係者も加わり、最近のホノルルにおける安全対策の現状報告を受けた。
(取材・文 奥山夏実)
“たびレジ”または“在留届”を 提出していますか?
伊藤康一総領事は冒頭のあいさつで以下のように話した。 「ハワイは、世界有数の観光地であるため、治安の悪化が観光業に与える影響が大きいことを警察当局も十分に認識し、治安維持に全力を挙げてくれています。成熟した多民族社会でもあるハワイは、他の州に比べて治安は良好な方で、日本人が多く住む海外の街の中でもっとも安全と言っても過言ではないでしょう。外務省としては海外旅行をされる人には“たびレジ”への登録をお勧めしています。登録すれば、渡航先の最新の海外安全情報をメールで随時受け取れます」 “たびレジ”に日本国パスポート番号や旅行日程、滞在先、連絡先などを登録することで、滞在先の渡航情報や緊急事態発生時の緊急一斉メール、また、いざという時の緊急連絡が受けられるシステムだ。 また、ハワイに3ヶ月以上住む人向けには、在ホノルル日本国総領事館に“在留届”を提出することが義務付けられている。ウェブ上の“在留届電子届出システム(ORRnet)”から届出できるほか、ヌウアヌの総領事館に直接行って手続きすることもできる。 在留届は事件、事故、災害などの緊急事態が発生した際、安否確認、緊急連絡、留守宅への連絡や、「海外で事故にあったのでは」といった留守宅からの安否照会、在外選挙人登録や領事窓口サービスなどにも利用できる。 伊藤総領事は、 「日本の主権が及ばないハワイで日本人が事件や事故に遭わないようにするには、自分の身は自分で守る意識も必要です。そのために“たびレジ”や“在留届”に登録して、最新の現地情報を得るようにしてください」 日刊サン記者の私は“在留届”を提出している。するとメールに“外務省海外安全ホームページ”からと、“在ホノルル日本国領事館”から事件や事故、天災などの注意喚起メールが届く。例えば最近なら、総領事館からの“大腸菌(O-157)感染症の発生について”の最新情報が届いた。大型ハリケーンが相次いだ今夏は、毎日のように逐一、ハリケーンの大きさや経路がアップデイトされた。詳しく知りたい場合のサイトも紹介されている。なんとも心強くて便利なサービスだ。
ホノルル市警察の現場からレクチャー
今回はホノルル市警察のマイク・フジオカ警察官とカズナリ・フジムラ警察官が来て、最近のホノルルの治安や交通ルールの強化についてレクチャーしてくれた。 「僕らはホノルルで開催されるメジャーイベントの警備をプランニングし、現場で安全を守っています。最近ではブルーノマーズのハワイ公演ですね。追加公演が決まり、セキュリティプランも何度も変わって大変でした(笑)」 次はホノルルマラソン、走るのと同じくらい大変ですよと、日本語も堪能に笑わせてくれるナイスガイだ。 「ハワイは世界有数のリゾート地であり、治安の悪化が観光業に与えることが大きいことはホノルル市警も十分に認識し、治安維持に全力を挙げています。ただ、日本人旅行者を狙った凶器を使用した強盗事件が増え、さらに12月は窃盗が多くなる年末ですので十分な注意も必要です」
ホノルル警察(HPDホノルル ポリス デパートメント)の http://www.honolulupd.org/information/index.php?page=crimemapping hp というサイトでは、ハワイのどのエリアでどんな種類の犯罪が起きているかを閲覧することができると、ウェブ画像を見せてくれた。 「レンタカーの車上荒らしが一番多いですね。着いてすぐトランクを入れたまま買い物をしたり、買い物袋を入れたまま車から離れると狙われやすい。買い物をしたらなるべく早く、ホテルに置きに帰るといった用心が必要です。またビーチに行くなら、現金やクレジットカード、パスポートなどは最小限しか持ち歩かないようにして欲しいです。そしてパスポートとクレジットカードの番号は必ず控えておいてください」 以下は、実際に起こった窃盗事件だ。
◆平日の昼、邦人旅行者がレンタカーでオアフ島内の観光地、モアナ・ルア・ガーデンを訪問し、座席上にバッグを置いたまま散策に出かけたところ、車の窓ガラスが割れ、バッグが盗まれる車上狙い被害が発生。
◆平日の夕方、邦人旅行者がレンタカーでオアフ島内のワイケレ・アウトレット・ショッピングセンターを訪問し、買い物を終え駐車場で子どもをチャイルドシートに乗せていた隙に、後部トランク付近に置いていたバッグが盗まれるスリ被害が発生。
「警察に届けて犯人が見つかったとしても、起訴する場合、被害者は再度ハワイに来る必要があるので、日本人は面倒がって起訴しないことを犯罪者たちは知っています。だから狙われやすいんです」女性のナイトライフを狙った犯罪も増えている。 「一人でクラブなどに来て、お酒や飲み物を飲んでいる女性が、隣の人から声を掛けられて飲み物から目を離したり、席を外した瞬間を狙って、睡眠薬などを飲み物に入れます。意識を失ったところで金品を奪われたり性犯罪に巻き込まれたりする。見知らぬ人からもらったペットボトルの飲み物も注意してください」 道路を歩く時、バッグは車道側と反対の腕に持つ。車やバイクなどでのひったくりからの自己防衛だ。 「事件事故に遭ったら、「911」に電話します。救急車、消防車、警察はすべてナインワンワンです。公衆電話からならコインは不要です。英語ができないなら、ジャパニーズ スピーカー プリーズと言いましょう。日本語担当者に代わりますから」 パスポートの紛失や盗難にあった場合には、はじめに警察に盗難届けを出し、その後在ホノルル日本国領事館でパスポートの再発行の手続きを行う。
スマホを見ながら横断歩道を渡ると罰金
「ホノルル市警察は、最近オアフ島内で歩行者の交通死亡事故が急増していることを踏まえ、交通法令に違反する歩行者を処罰することを含め、交通違反の取締りを強化しています。歩行者の交通違反に対し、これまでは警告書の交付を行うなどの措置に留めていましたが、今後は罰金を伴う交通違反切符の交付に重点を置くようになったので、皆さんルールを守ってくださいね」
●歩行者は、歩行者用信号がピカピカ点滅していたら、横断を開始してはいけない。横断を開始した後に、歩行者用信号が点滅したら、表示される時間内に横断を終了する必要がある。違反した場合の罰金は130ドル。
●横断歩道で、スマホなどの電子機器を見ながら横断することは禁止。罰金は15ドル~90ドル。
●横断歩道がない場所での横断は禁止。罰金は130ドル。
●車両を運転している際、交差点や横断歩道で、歩行者が横断中の場合は、歩行者が横断を終了するまで停車する必要がある。これに違反した場合は裁判所への出廷が求められる。
●交通違反取締りにはホノルル市警制服警察官だけでなく、強化のために私服警察官も配置。
●日本人など外国人であっても、米国人と全く同様に交通違反の取締りを受ける。
「イジワルではありませんよ(笑)、旅行者と在住者の皆さんの安全確保のためです。ぜひルールを守って、人の多いホリデーシーズンをセーフティにお過ごしください」
(日刊サン 2018.12.01)