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新バケーション・レンタル条例 差し止め訴訟で執行に混乱

Bynikkansan

8月 17, 2019

新しいバケーション・レンタル条例が8月1日に発効された。市当局は8月5日の週に、違反通知を発行する予定であったが、同条例の差し止め請求訴訟が起こされ、違反通知の送付は遅れている。

 

コールドウェル市長は8月6日朝の記者会見で、「市が訴訟の為に同条例の執行を停止したというのは誤報である。市企画・認可証発行局(DPP)は係争中の訴訟のため、数百件の違反を精査しており、違反通知はまだ発行されていないだけである」とコメントした。

 

8月1日に施行された条例により、許可されていない30日未満のバケレンの宣伝は違法となった。また、許可されていないバケレンの実施とその広告に対する罰金は、1日1千ドルから1日最大1万ドルに引き上げられた。

 

DPPの規定によると、ゾーニングまたは建築基準法に違反していることが判明した者に対しては違反通知が発行される。違反是正には7日間の猶予がある。違反が是正されない場合は、初回罰金と一日ごとの罰金の決定通知が送付されることになる。

 

市は、ホテル・リゾート地域にある物件及び市が新規認可を停止した1989年以前に認可された808件の物件を除き、家やアパートの30日未満のレンタルを違法としている。市は、オアフ島には6千〜8千件の違法なバケレンが存在すると推定しているが、2万5千件にのぼるとの情報もある。

 

いわゆる「30日レンタル」の運営者を含むバケレン運営者で構成されている「ハワイ・バケーション・レンタル・オーナーズ協会(HVROA)」(「コクア・コアリション(同盟)」とも呼ばれている)は8月1日、市の同条例の執行差し止め訴訟を起こし、同同盟は2018年、バケレン続行を認める市との和解契約を締結していると主張した。

 

同同盟の顧問弁護士は、「新しい条例では30日間のレンタルが許可されているように見えるが、DPPのウェブサイトでは許可されていない」と指摘した。 「30日レンタル」とは、借り手が30日間の滞在に満たなくても30日間のレンタルとして契約する形態を指す。

 

この裁判の公判は8月15日、連邦地方裁判所(デリック・ワトソン裁判長)で開かれる。 さらに8月9日、ワイキキ・バンヤン(876戸のツイン・タワー・コンドミニアム)の所有者が作る「ワイキキ・バニアン・アパート所有者協会」が新バケレン条例の執行差し止めを求めハワイ巡回裁判所に提訴した。

 

同協会は7月29日のDPPとの面談の際、同タワーのほとんどのユニットはバケレンとしての正式認可を受けておらず、新条例の免除を受けることはできないと告知された。

 

しかし、訴状では、同タワーは1979年のオープン以来コンドミニアム・ホテルとして運営されており、またDPPは過去3度にわたり同タワーをホテルと呼んでいると主張し、コンドテルとしての地位の保証を求めている。

 

さらに、同タワーの海側のユニットはホテル・リゾート地域にあるためバケレンが許され、山側のユニットはアパート・複合利用地域にあるためバケレンが許可されていない、というのは公平性の観点から問題である、と指摘している。

 

DPPによると、1970年代にワイキキ特別計画地区が作られ、クヒオ通りの山側がアパート・複合利用地域に指定されたのは、ワイキキがホテルで埋め尽くされるのを防ぐ目的があったからという。

 

 

(日刊サン 2019.08.17)