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投資家シドラー氏、7件の不動産をハワイ大学へ寄贈

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地元の不動産投資家ジェイ・シドラー氏は長年のキャリアで「土地を取得して他人に貸す」というビジネスの極意を学び、これをハワイ大学の生徒達と分かち合うため、自身が所有する本土の商業用地を大学へ寄贈した。

同氏と大学は7件の不動産の寄付同意書を5日に締結。オアフ島在住でハワイ大学の卒業生でもあるシドラー氏がこれまでに大学へ寄贈した不動産は、本土の9つの都市にあるオフィスとホテル計11件となった。全てハワイ大学内のシドラー氏の名前が付けられたビジネスカレッジに贈られている。

建物の所有者が地主に支払う借地料による収益は、同カレッジの安定した収入源となる。これらの収益は初期の24年間は年間55万〜150万ドル程度だが、99年間の借地契約期間を平均すると年間210万ドルとなり、総計21億ドルに上る。ハワイ大学は得た収益で、プログラムの拡充、施設改良、トップレベルの講師陣確保に投資し、40年以内にビジネスカレッジの授業料を免除する構想を発表した。

借地契約完了後にはその土地に建設されている建物を、ハワイ大学が単独または共同で所有することになる。シドラー氏の見積もりでは、インフラ率3%として評価した場合でもハワイ大学の持つ資産の価値は51億ドル相当になるという。

71歳の同氏は永続的な価値のある寄贈を行うことで、カレッジが今後30年以上素晴らしい繁栄を遂げるよう願っていると話す。

カレッジの学長ヴァンス・ローリー氏は、今回の寄贈により、大学ランキングでの順位上昇、プログラム拡充、学部増設、奨学金制度の充実を引き続き目指すことができると語った。

シドラー氏は寄贈物件の収益を除いても、これまでに総計2億2800万ドル相当を大学へ寄付している。カレッジへ初めて2500万ドルを寄付した2006年、校名に「シドラー」が付けられた。今回贈られた7件の現在の価値は1億1200万ドル相当。現金でも500万ドルが寄付され、今後5年間続ける予定だと言う。

 

偉大な卒業生

シドラー氏はこれまでに2000以上の商業不動産に投資し、ニューヨーク株式市場に上場している公開企業5社を含む20社以上を立ち上げており、ハワイ大学への寄付は自身のキャリアを支援してくれた機関への恩返しの行為だと話す。

同氏が初めてハワイへ渡ったのは1949年。その後本土へ戻りメリーランドの高校を卒業、1964年にハワイ大学へ進み経済学を学んだ。寄贈された物件の将来の収益をどう使うかは未来の世代に任せられるが、99年間の借地契約期間内は不動産を売却しないよう条件が設けられている。

 

(日刊サン 2017. 10. 14)