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商業不動産物件仲介会社のコリアーズ・インターナショナル社は、2日、昨年の投資家によるハワイの商業不動産の購入総額は、一昨年比で減少したと発表した。これにより、ハワイ州全体における商業不動産の売却総額は3年連続で減少することとなった。
ホテル、ショッピングセンター、複合アパート、オフィスビルなどを含む昨年の不動産売却総額は31億ドルで、2016年は41億ドル、2015年は45億ドルで、ピークは2014年の46億ドルだった。 コリアーズのハワイ支社が発表した価格が100万ドル以上の物件についての報告書によると、アメリカ本土における不動産物件の価格水準が高くなっている傾向があると共に、過去9年間で不動産市場価格が上昇したことによって、その後の市場が停滞する可能性が投資家の間で懸念されているという。
報告書ではまた、通常、不動産価格の上昇と低下のサイクルは5年毎だが、ここ数年においては過去9年間にわたって上昇し続けたことから、現時点での買収は価格のピーク時にあたる可能性があり、これが投資家による物件購入を頭打ちするとしている。
トランプ税制改革、投資家に今後有利か
しかしながら、最近の株式市場の変動性に加え、トランプ大統領が行った連邦税制改革による新ルールが投資家にとって有利であることから、今後、商業不動産取引の伸び悩みを打破する可能性があるという見方もある。
コリアーズは、こういった投資家の懸念が市場サイクルに影響していることで、今年のハワイでの商業不動産の購入総額は、昨年比5億ドル減の約26億ドルになると予測している。また「メガ案件」は少なくなるとする一方、小規模不動産買収の取引件数が増加することも、商業不動産の取引件数と価格が低下する原因になるとの見通しを示した。
昨年の商業不動産物件の最大売却額は5億1500万ドルで、ドイツの投資会社コメルツ・レアル社が、アヒロラニ・リゾートとして再オープンしたワイキキの旧パシフィック・ビーチホテルを買収したことによる。次いで高額だった売却額は3億3000万ドルで、ニューヨークに本拠を有する投資会社ブラックストーン・グループが、ノースショアのタートルベイ・リゾートを買収したことによるものだった。
リゾート物件全体の取引数は12件で、売却総額は商業不動産取引総額の半分をわずかに上回る16億ドルだった。これらの取引には、3億1700万ドルで取引されたウェスティン・マウイ・ホテルや、1億9,600万ドルで取引されたマウナラニ・ベイ・ホテル&バンガローズのゴルフコース込みの物件などが含まれる。 リゾート物件に次いで、小売物件の取引件数は60件で、総額は4億8700万ドルとなった。取引の中には、取引額7,000万ドルのパールリッジ・センター、4400万ドルのカウアイビレッジ・ショッピングセンターが含まれる。
その他のカテゴリーにおける取引件数と取引総額はそれぞれ、工業物件が58件で2億9800万ドル、土地物件が61件で2億8800万ドル、アパートメント物件は68件で2億1700万ドル、オフィス物件は25件で1億6300万ドルだった。 商業不動産取引全体で費やされた金額については、アメリカ本土の投資家によるものが15億ドルと最も多く、続いて地元の投資家による10億ドル弱、そして外国の投資家による約7億ドルとなった。
(日刊サン 2018.03.10)