州議会は4月12日、助産師に免許を与え、文化・伝統的助産行為の実践者による助産を2023年以降禁止する、上院法案1033号を可決し、デイビッド・イゲ知事に送付した。 助産師は出産時に、母親の血圧、心拍数、呼吸、意識レベル、を測り、子宮収縮、心拍数、胎位をモニターする。また、子宮頸部検査、出産課程での異常の査定、乳房検査、パップテスト、性病検査、妊娠していない女性の診療までを、過失なしに行っている。
助産師の規制を勧告した2017年の州監査役の報告によると、2015年にハワイで生まれた約1万8千人の子供のうち、1.8%(339人)が自宅出産であった。 正式な訓練を受け免許を持っている助産師を含む1033号法案の支持者は、自宅出産の安全性を確保するために免許制度が必要であると訴えている。現在、州商業・消費者保護局から免許を受けているのは、助産を専門とし、薬の処方が出来る高度実践看護師だけである。
ハワイ助産師連合のレア・ミントン理事長によると、専門家認定を受けた助産師の一部は、自己訓練で学び、正式な教育や実践訓練を受けていない文化・伝統的助産実践者を疑問視しているとのこと。 「過去20年間規制がなかったため、誰でも自分を助産師と呼ぶことができる。規制を行うべきで、免許を持っていないものは助産師ではない」と同理事長は語った。
一方、3人の子供のうち2人を文化的実践助産師の助けで出産したアロヒ・アエアさんは、1033号法案は女性の公民権の侵害だと抗議し、「文化・伝統的助産実践者は保護されるべきで、その助産行為は許されるべきである」と主張する。 自宅で4人の子供のうち3人を産んだライネ・ハマムラさんは、「この法律は女性の権利と選択肢を奪い、ハワイの家族を助けている助産師を犯罪人扱いするものだ」と述べた。 同様の法案が、2014年、2016年、2017年、2018年に提案されたが、いずれも否決されている。
今回の1033号法案は、州憲法の下で保護されているネイティブ・ハワイアン治療師(ヒーラー)を除外しており、助産師の免許取得義務を2023年まで猶予している。 また、課題や規制の調査・研究のため、1年目に14万6千ドル、2年目に7万3千ドルの予算を確保している。
下院のクリス・リー議員(民主)は、医師やその他の医療専門家は免許取得と適切なトレーニングが義務付けられているのだから、助産師にも同じ基準が求められるべきだ、と主張し、「州は、さまざまな種類の免許制度を導入している。髪を切るという、はるかに危険が少ない行為も対象になっている。現代においてもなお、人の生死にかかわり、専門性が要求されるこの分野が規制されていないことは驚くべきことである」と述べた。
(日刊サン 2019.04.27)