オアフ島のクロムウェルズ・スイミング・コーブでは防波堤から飛込み怪我をする人が後を絶たない。この土地を所有するオーナーは、防波堤を撤去し水底に玉石を敷き詰めたいと許可を求めていた。しかし州の土地自然資源局の委員会(BLNR)は4月27日に4対2でこの要望を却下。その後議論や証言が続けられたが、5月25日の2回目の委員会でも再び4対2で許可申請は否決された。
BLNRの委員会メンバー、スタンレー・ローリグ氏は、防波堤の周囲に玉石を敷き詰めるのはエリアをより危険にするとして反対。地所を所有するドリス・デューク・イスラム美術財団(DDFIA)のディレクター、コンラッド・イング氏は安全性の向上こそが許可を求める趣旨であると主張した。イスラム美術や文化の博物館シャングリ・ラ邸でガイドツアーを提供しているDDFIAは、飛込みを防止するためフェンスや看板を設置し、警備員まで雇用した。しかしSNSで注目されるにつれ、飛込みも増加。「重大な怪我を負う事故を防ぎ、公共に開放された場所であり続けるために許可を求めています」とイング氏は話す。
許可に賛成派の委員会メンバーは、コーブは民間所有の土地にありオーナーの事故防止対策を支持すると述べた。しかし25日に証言したコミュニティのメンバーは、コーブを公共の娯楽用地だと認識しており思い入れの深い歴史ある場所だと訴え、現状維持を望んだ。
DDFIAは「海岸を市民へ開放し公共の安全を確保する計画を却下したBLNRの判断は誠に遺憾です」と声明を発表。同財団は、今後コーブの土地をハワイ州へ返還できるよう努力を続けると加えた。
『ドリス・デュークの入り江を破壊させるな』というウェブサイトには、25日夜までに1300名の署名が集まっていた。委員会の否決を喜ぶ住民は「ハワイの宝石が守られました。若者に水辺では安全に注意し飛び込まないよう教育する機会です」と述べた。
(日刊サン 2018.06.09)