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宿泊料金の値上げが10月のホテル業績を底上げ

@shutterstock

 

 ハワイ観光局が28日に公表した業績レポートによると、10月はホテルの客室利用率に変化はなかったが、ホテル料金の平均が上がったため総合的な業績は上昇した。

 ハワイ観光局の観光調査課がSTR社のデータを統計して発表した10月次のホテルの1泊料金の平均(ADR)は前年同月から4%上がり約240ドルだった。STR社はハワイにある20室以上を有する宿泊施設のうち91%にあたる、166軒のホテル総計4万8989室を調査。

 10月の客室利用率は前年同月より0.1%しか上がらず78.6%だった。しかし宿泊料金の値上げが1室あたりの売上額(RevPAR)を底上げし、189ドルを記録。前年同月より4%上昇した。RevPARは、客室の利用状況に関わらずホテルが得られる1室あたりの料金を示唆するため、業界では業績を測り知る最適な指標とされている。

「10月は好調な1年の中でも堅実な月となりました。ハワイの観光業界が、高級宿泊施設を求める層を含む様々な予算帯の旅行客を惹きつける能力があることが証明されました。特にネイバーアイランドのホテルは、1室あたりの売上額が前年比から大幅に成長しています」と、観光局で観光調査を担うディレクター、ジェニファー・チュン氏は述べた。

 

ビッグアイランドでは10%を超える伸び

 10月のホテル客室利用率は、オアフ島は2%下降、マウイ郡は横ばい、ハワイ郡は約5%上げて72.9%、カウアイ郡は6%上昇し77.1%だった。1泊平均料金は全てのエリアで上昇したが最も伸びを見せたのはマウイ郡。RevPARはオアフ島がわずかに減少したが、マウイ郡とカウアイ郡では1桁台の上昇、ハワイ島では10%を超えた。

 州全体の今年の1月から10月までの総計では、前年同期よりもRevPARが6%上昇し210ドル、ADRが4%上がり261ドル、利用率は0.9%上がり80.3%となった。エリア別にみると、オアフ島だけが利用率を前年同期よりも下げ、他エリアは上昇。ADRとRevPARは全エリアで上昇した。高価格帯のホテルは1月から10月の期間で中価格帯や低価格帯のホテルと比べて良好な業績を残した。

 KV&アソシエイツ・ホスピタリティ・コンサルティング社代表のキース・ヴィエラ氏は、ハワイのホテル業界が昨年の桁外れの成功には及ばないが好調だと話す。「他の市場よりも堅実な成長を遂げています。客室利用率の低下に関しては、バケーション・レンタル等の宿泊施設の影響を受けていることは間違いありません。しかしその利用客もハワイの訪問者数となるためポジティブに捉えるべきでしょう」と同氏。チャーチル・グループのオーナー、ベス・チャーチル氏も、バケーション・レンタルが客室占有率の成長を妨げているが、ネイバーアイランドでホテル利用者が増加し消費額が上昇している結果をみると、ホテル業界へのダメージはほぼないと語る。「ハワイの観光客向け施設は消費額の多い旅行者を惹きつけ、ネイバーアイランドへの訪問も増加させています。この数年間観光局が続けて来た戦略の効果が出ています。特定の層の消費者や利用客は高い価格を支払い、彼らは代替の宿泊施設に移行することはないのです」

 

(日刊サン 2017. 12. 09)