パロロ本願寺で17日、福島県から訪れた大和田新さんの講演会が行われた。大和田さんは東日本大震災時、ラジオ福島のアナウンサーで、現在はフリー。
講演会では『無念』の上映があった。震度6強の揺れに見舞われた福島県浪江町の消防団は、津波被害を受けた請戸地区へ救援に向かうが、機材を取りに戻る間に福島第一原子力発電所で事故。請戸地区が避難区域に指定されたため、助けを待つ人がありながら救援活動を諦めざるを得なかった。『無念』は助けられたはずの命を助けられなかったという、消防団の思いを描いた事実にもとづくアニメーションだ。地震、津波だけでなく原発事故により福島の人たちに何が起こったのかが伝わる。3月にフランスで、4月にはニューヨーク、ボストンなどで上映会が催された。
大和田さんは、震災関連死が毎月10人、福島での自殺件数は19人にのぼるなど、6年以上たった現状はいまだに厳しく「心の復興」が望まれていると話す。その中で、福島の若者たちが前向きであり、若者から「夢のない大人はカッコ悪い」と言われたエピソードなどを紹介。講演会には20人ほどが集まり、熱心な質問が続いた。
アニメーション『無念』のDVDは、パロロ本願寺が預かり、上映を希望する方には貸し出しをする。パロロ本願寺の連絡先は(808)732-1491。
大和田新さん
(取材・文 袰岩奈々)