医療制度を研究する団体コモンウェルス・ファンドが発表した最新のレポートによると、ハワイは人口当たりの自殺と飲酒、薬物による死亡率が全米で最も低い州の1つだが、一方で精神医療の実績は最も少ないことが明らかになった。
ファンドが発表した医療ケア評価によると、2013年から15年の期間に精神疾患のあるハワイの成人の64%、未成年者の23%が治療を受けられていない。全米では精神疾患のある41~66%の成人、未成年の3分の1が治療を受けられていない。ファンドのリサーチ・ディレクターであるダグラス・マッカーシー氏は「どの州も不十分な結果であることが示されています。全米をあげて精神医療の改善に努める必要があります」と述べた。 2016年のハワイの自殺と飲酒や薬物摂取による死亡をまとめた「絶望死」の比率は人口10万人当たり31.2%で、全米で2番目に低かった。2013年の28.4%からはわずかに増加。全米の2016年の絶望死の比率は2005年の2倍近くに上っている。数年ぶりに75歳以下の早期死亡数は上昇。州の10万人当たりの死亡率は75.3%から76.1%に増加した。
「全米の3分の2の州で早期死亡者と死亡率が増加しています。今まで死亡率は減少していましたが、これまでの対策のままでは不十分だということでしょう」とマッカーシー氏。乳児死亡率は全米では減少しているが、ハワイでは誕生した乳児1000人当たり4.9%から5.7%に増加。ハワイは医療面でも高評価 ハワイの医療はアクセス性、費用、格差の点で全米1位にランク付けされた。政府の高齢者向け健康保険プログラム、メディケア加入者の高リスクの薬剤使用数の減少にも大きな改善を見せた。さらにメディケア加入者1人あたりの支出額が最も低い州でもあった。「ハワイの医療へのアクセス性は素晴らしいです。雇用者に健康保険を提供するという歴史的なポリシーに基づいた結果でしょう。医療が必要の無い人を病院に留めない点も好調で、ハワイは他の州に比べて医療コストが大変低く抑えられています」とマッカーシー氏は述べた。
(日刊サン 2018.05.12)