6月27日、在ホノルル日本国総領事館で伊藤康一総領事から早瀬登さんへの受勲伝達式が行われた。伊藤総領事は下記のように祝辞を贈った。
「早瀬さん、令和元年度、春の叙勲における旭日単光賞の受賞について心よりお祝いを申し上げます。私が初めて早瀬さんにお会いしたのは、昨年の10月にこちらの総領事として着任をしてまだ間もない頃に、マキキ墓地に献花でお花を添えに訪れた際に早瀬さんにお出迎えいただきました。その後は春の慰霊祭、夏の盆法要、また昨年は秋篠宮両殿下がハワイ訪問された際にはマキキ墓地を訪れていただき、その際にもご一緒させていただきました。またその後、河野外務大臣が来られた際にも早瀬さんにお世話になりました。こういった機会で早瀬さんとご一緒するたびに、早瀬さんの先の大戦で失われた多くの方々の御霊を深く尊ぶお姿に、そして日米の歴史についての深い想いに大変感銘を受けてまいりました」
早瀬氏は2004年からハワイ明治会(昭和33年設立)に参加。2011年から昨年までの7年間に渡り明治会の会長として、“時代を問わず、明治の精神を称揚し、会員相互の親睦をはかり、合わせて社会の福祉に尽くす”という明治会の精神を守り、多くの方々に活動を伝えることで、日米の友好や親善に大きな貢献をした。 伊藤総領事は早瀬さんの経歴を紹介した上で、 「早瀬さんはカイルアの自宅からバスでマキキ墓地に定期的に通っておられ、明治元年移民渡航の碑や鎮魂の碑など日本とアメリカの歴史にとっても大変意義のある慰霊碑を掃除し、美しく綺麗に整えてくださいました。
また、えひめ丸慰霊碑や、グリーンヘブンメモリアルパークに残されたジョン万次郎のお墓でも清掃の活動を行ってこられました。このような墓地や慰霊碑の維持や管理を通してハワイにおける社会の福祉に尽力されてこられた功績を称えまして、ハワイ明治会には平成25年(2013年)に愛媛県知事より感謝状が、また平成27年(2015年)には前任の三澤総領事から公館長表彰が行われております。平成28年(2016年)には安倍総理のご訪問、昨年は秋篠宮両殿下のご訪問と、早瀬さんが会長を勤められた時には重要な訪問が続きましたが、いつも本当に日本から訪れる人たちが、訪れるにふさわしい場所として、墓地を整えていただき、改めて感謝を申し上げたいと思います。早瀬さん本当におめでとうございました」 と、功績をたたえた。
早瀬氏は、 「本当にありがたいです。総領事をはじめ、領事館の皆様方、自衛隊の皆様、そして明治会の会員の方々がしっかり支えてくださいました。それでこのような栄光をいただけたと思っております。心よりお礼を申し上げます。私は昭和5年に生まれ、ただ今89歳でございます。真珠湾攻撃を発端にした太平洋戦争の真っ只中で育ちました。広島の陸軍幼年学校にいた頃、航空兵の先輩方が淡々として戦場に向かわれるお姿を見ました。今もはっきりと覚えています。それだけにここハワイで御霊が眠るお墓を一生懸命守らせていただきました。そういったことで、私自身がというよりも、明治会は60年経っております。その間にずっと先輩の方々が守って来られたものを継続し大事にしてきただけです。今日はなんと申し上げたらいいのか、皆様に本当にお礼を申し上げたい。それだけでございます。本当にありがとうございました」 と挨拶した。
(日刊サン 2019.07.02)