ハワイ大学マノア校の学生による狂言のデモンストレーション
日本とハワイの文化交流を通して地域社会へ貢献
カハラ地区のワイアラエ・カントリークラブで、3月19日、主婦ソサエティ・オブ・ハワイ51周年総会が開催された。会場のボールルームには、約130人の会員とゲストが集まり、互いに交流を楽しんだ。
主婦ソサエティ・オブ・ハワイは、1966年に「主婦の友 ハワイ友の会」として発足されて以来、ボランティアや講演会、展示会、文化教室など、ハワイと日本の文化交流、及び地域社会への貢献を目的とした活動を続けている。現在の会員数は133名。最高齢の会員、リリアン・ヤジマさん(97)は、21年前、76歳の時にフラを始め、現在は「夏の家ティーハウス」で高齢者向けにフラを教えている。
開会の挨拶で、会長の有川啓子氏は、「主婦ソサエティ・オブ・ハワイの発足から半世紀以上が過ぎ、当時とは比べものにならないくらいの情報社会となりました。しかし文化とは、直接見聞きするなどの実体験の中ではじめて、受け継がれていくものだと思っています。これからも、ハワイにいる日本のルーツを持った若者たちに、日本文化を伝えていく手助けになれば幸いです」と述べた。また、名誉会長の三澤康総領事夫人、三澤葉子氏は、会場に展示されている着物の色や柄、プログラムで演じられる狂言に言及し、日本の伝統文化の奥深さ、面白さについて語った。
新役員宣誓式
前方に設置されたステージでは、新しい会員の紹介と役員宣誓式の後、ハワイ大学マノア校の生徒による狂言のデモンストレーションが行われた。まず、着物の下着を身につけた太郎冠者役の学生がステージ中央に立ち、二人の着付け師が衣装を着せるプロセスを披露。その間、主人や語りなど、他の役の衣装を身につけた生徒も舞台に立ち、狂言を指導しているジュリー・レジー氏が、各衣装の成り立ちなどを説明した。その後、シテ1人、アド2人で、狂言の舞台の一部が英語で演じられた。会場にいた参加者の一人は、「ことばや擬音など、狂言独特の発声が英語で忠実に再現されており、大変興味深いです」と感想を述べた。
会場に展示された打ち掛けと振り袖
その後、着物に詳しい会員が、会場内に展示されている琉球紅型、打ち掛け、訪問着、七五三の着物などについて、由来や歴史を説明。着物は、所有する会員から提供されたもので、3世代に受け継がれている100年前の手織り帯など、価値の高いものも複数展示された。
ビュッフェ形式のランチを挟んだ後、テノール歌手のガイ・メロラ氏とピアニストのマーク・ウォン氏のパフォーマンスが行われた。イタリア系アメリカ人のメロラ氏は、ニューヨークのマンハッタン音楽院出身。ハワイでは、ダイヤモンド・ヘッド・シアター、ハワイ・オペラ・シアターなど、数々の舞台で活躍している。
テノール歌手のガイ・メロラ氏
ウォン氏は、13歳からオルガニストとしてプロ活動を開始。現在は、オーケストラやソロシンガー、室内楽などのピアニストを勤めている。45分間のパフォーマンスの中で、ピアノの伴奏に乗せて「帰れソレントへ」、「オペラ座の怪人」、「荒城の月」、など計7曲が歌唱された他、ドビュッシーのピアノ曲「月の光」がソロ演奏された。明媚なウォン氏のピアノとメロラ氏の艶美な歌声。プライベートでもパートナー同士である2人の息の合った演奏に、思わず涙ぐむ参加者もいた。
ピアニストのマーク・ウォン氏
総会の最後は、ドア・プライズとして、参加者に抽選で、高級洗車券やマッサージ券、テーブルクロスなどが贈呈された。閉会の挨拶で、有川会長は「今年も1年間、文化イベントの開催などを通し、力を合わせて地域への貢献に励んでまいりたいと思いますと語った。 主婦ソサエティ・オブ・ハワイでは、現在会員を募集している。年会費は25ドル。興味のある方は、FacebookのShufu Society of Hawaiiまでご連絡を。
会長の有川啓子氏
(取材・文 佐藤友紀)