ホノルル市のザ・カハラホテル&リゾートで、8日午後、主婦ソサエティ・オブ・ハワイが主催する第1回目のアフタヌーン・ティーパーティが開催された。
「How to Enjoy Afternoon Tea in Hawaii」と題されたパーティでは、ハープの生演奏が流れる中、紅茶専門家の磯淵猛さんが、正式なアフタヌーンティーの歴史やマナー、紅茶の健康効果などについて語った。
海を望むティールームの窓際には、デザイナーの武田健成さんが収集しているアンティーク食器コレクションの中から、この日のためにセレクトされた19世紀のティーセット数点が展示された。またパーティーの後半には、黒を基調としたファッションショーや帽子コンテストなどが行われ、色とりどりのティードレスをまとった約50人の参加者たちは、アフタヌーンティーの知識を深めながら日曜午後の優雅なひと時を楽しんだ。
講師として招かれた紅茶専門家の磯淵猛さんは、1951年生まれ。
青山学院大学卒業後、紅茶専門店「ディンプラ」を開業し、スリランカを中心に、インド、中国からの紅茶の輸入を手がけている。その傍ら、紅茶研究家としてキリン「午後の紅茶」などのアドバイザーを勤め、また紅茶エッセイストとして『一杯の紅茶の世界史』(文藝春秋)、『紅茶の教科書』(新星出版社)、『紅茶の手帖』(ポプラ社)など、多数の著書を出版している。磯淵さんは、時折各テーブルを回って紅茶を注いだり、参加者たちの質問に答えたりしながら、アフタヌーンティーや紅茶についての豊富な知識をわかりやすく語った。
イギリスの喫茶文化であるアフタヌーンティーの起源は、1840年、第7代ベッドフォード公爵フランシス・ラッセル夫人、アンナ・マリアが始めた茶会と言われている。紅茶と共に菓子や軽食を楽しむ女性向けのスタイルで、リビングルームやゲストルームなど、低いテーブルのある部屋で行われたため、ロー・ティーとも呼ばれる。軽食は、ティースタンドという2〜3段重ねのトレイに載せられて提供され、サンドイッチ、スコーン、ケーキの順に食べるのが作法とされている。正式なアフタヌーンティーには薄く切ったキュウリを挟んだサンドイッチが出されるが、ヴィクトリア朝時代のイギリスではキュウリが珍しく貴重なものだったため、新鮮なキュウリを食べられるということは、生活に余裕があることの証とされていたことに由来する。
日本では、作法や服装、調度品、食器などが重視されるアフタヌーンティーだが、現在のイギリスでは、ホテルのティールームなどで催されるフォーマルな茶会と共に、自宅でカジュアルに飲食を楽しみながら社交をする機会として広く親しまれている。
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また、紅茶は体にさまざまなよい効果をもたらす健康飲料としても飲まれている。茶葉に含まれる酵素によって酸化発酵して作られる紅茶は、血糖値の上昇、脂肪の吸収、肌の老化を促進する糖化などを抑制したり、抗炎症作用や殺菌作用があると言われている。
参加した40代の女性は「今日は、実際に正式なアフタヌーンティーを楽しみながら専門家の方から興味深いお話をうかがえるという貴重な経験をさせていただきました。アフタヌーンティーについて、今までは漠然とした知識しかなかったのですが、今日の磯淵さんのお話で具体的な歴史やマナーを知ることができ、大変勉強になりました。紅茶やアフタヌーンティーについての興味が刺激され、もっと知識を深めたいと思うようになりました」と感想を述べた。
(取材・文 佐藤友紀)
(日刊サン 2018.04.18)