フラ用品の製造業者「アロハ・フラ・サプライ」は、タヒチアンスカートやその他のポリネシアン・ダンスのコスチューム、アクセサリー、ジュエリーなどの製造で年間を通して忙しく、それがもう何十年も続いている。
「昨日はカリフォルニアの大きな(タヒチアン)イベント用に、イリマのスカートを60着発送しました」さらに7月にも大口の発送があると、4日木曜日、オーナーのスー・エルドリッジ社長は語った。
「まるで集中砲撃を浴びているよう。納期に間に合うように商品を作ったり染色したりすることができません」とエルドリッジ社長。
加工されていないスカートは、自然の色のまま南太平洋から輸送されてくる。それをアロハ・フラ・サプライが、漂白し、手染めしている。スカートには20種類の色があり、染色法には特許を持っている。「私たちが何の染料を使っているのか、みんなが解明しようとします」とエルドリッジ社長。
「私たちは(染色した)スカートをタヒチに発送しています。なぜならば、タヒチでは染料を手に入れることができないからです」
エルドリッジ社長が抱える17人の従業員は、ほとんど手作業でフラ用品を製造しており、店舗と倉庫の運営をサポートしている。素材となる鳥の羽は中国から、ヒョウタンはメキシコ、石(またはイリイリ)はフィリピンから、プイリ(スリットのはいった竹のスティック)は台湾からの輸入である。
しかしながら、同社は地元の消防士によって作られたプイリの製造ラインも持っている。「消防士が山から竹を引っこ抜いてくる」とエルドリッジ社長。「やや壊れやすいのですが、音色はこちらの方がきれいです」
「当社はフラ用品とタヒチアンスカートを扱う世界最大手の企業です」という言葉に間違いはないとエルドリッジ社長。年間200万ドル以上の総収益があり、「大金持ちになろうとは思っていません。この仕事は私のパッションであり、この仕事を愛しています」とエルドリッジ社長。
顧客の中には「このイプ・ヘケ(2つの部分に分かれたヒョウタン)には誰のマナが宿っているのか」と疑問を持つ人もいる。フラ用品には、それを作った人のマナが吹き込まれていると信じられているからである。
この質問に「ミスター・べスのマナが込められています」とエルドリッジ社長は答えるだろう。べスさんはラオス人のマスター・クラフトマンで、約30年に亘ってイプ・ヘケを作ってきた。「私はそれを変えようと思ったことすらありません」とエルドリッジ社長は語る。
また、フィリピンから輸入された石のマナに疑問を持つ人もいる。フィリピンから輸入しているのは、マウイ島の川から石を収集することが法律で禁止されてしまったためである。
「どのダンサーも自分のマナ(パワー)を石に込めています。ダンサーは自分の用具と一つになる必要があるのです」
カリヒにあるアロハ・フラ・サプライは、通信販売だけでなく小さな店頭での販売も行っている。しかし、店舗まで行くのが面倒という顧客に対しては商品を郵送している。また、メインランド全土への郵送も行っている。なぜならば「すべての州にハラウがある」からである。アメリカ国外では、日本でフラがとても人気であるほか、「フランスやオーストラリア、タヒチ、台湾、中国」でも人気があるとエルドリッジ社長。
タイトルが物議をかもしたキャメロン・クロウの映画「アロハ」を考えると、「アロハ」という言葉がこれほど世界の注目を集めたのは、エルビス・プレスリーが1973年に行った「アロハ・フロム・ハワイ」コンサート以来のことである。
しかし、地元の企業が「アロハ」という言葉を使うのは問題ではないようである。オンライン上での州の企業登録記録には、「アロハ」で始まる会社の名前が8,929件登録されている。
アロハ・フラ・サプライを命名したのはエルドリッジ社長ではなく、ホノルル・コミュニティ・カレッジでハワイ語を教える助教授であり、トラディショナル・ハワイアン・ミュージシャンのキモ・ケアウラナ氏である。
この名前は「アロハ」であることに基づいており、アロハ・フラ・サプライのカスタマーサービスにおいて、「アロハ」は重要な位置をしめているとエルドリッジ社長は説明した。