日刊サンWEB

過去記事サイト

一生青春、一生勉強「木曜午餐会」101周年の新年祝賀会も“学びあう歓び”でスタート

Bynikkansan

1月 26, 2019

ハワイの日系団体の中で、最も長い歴史のある勉強会が木曜午餐会だ。創立は1918年(大正7年)で、当時の在ホノルル日本国総領事の諸井六郎氏が呼びかけ発足した。

「理想は高く、姿勢は低く、いつも心に太陽を持って、一生青春、一生勉強。今を自分らしく輝き、新しい自分を始めよう」という目標を掲げ、「青春とは若き肉体の中にあるのではなく、若き精神の中にある」と、高齢であっても、リタイアしてもYoung at Heartであれば現役の青春なのだと謳い励まし、高め合ってきた。

 

1月10日に催された、毎年恒例のアラモアナホテルに於ける新年祝賀会もお勉強モード全開! 午餐会の会長である新名瑛(しんみょうあきら)氏の冒頭挨拶も、「2019年は波乱万丈、混迷の時代です。だからこそ、自分で考えることが大事なのです」と、リーダー不在の世界情勢を喝破。

 

新年の学び初めとなる伊藤康一総領事のメッセージは、挨拶を超える50分の長尺で、大学の一講義分! それでも会員の皆さんは熱心に拝聴し、時に笑い拍手をしながら、学びあう歓びをシェアしあっていた。

 

会員の皆さん、来賓の皆さんの「一生青春、一生勉強、2019年の抱負」を聞いてきました。

(取材・文 奥山夏実)

 

 

 

 

 

混迷の時代だからこそ、自分で考えよう

新名 瑛 午餐会会長

 

2019年は波乱万丈の年になりそうです。アメリカのトランプはやりたい放題、ロシアのプーチンはクリミア併合も北方領土返還も強行姿勢を崩さず、フランスのマクロン大統領は国内デモすら抑えられないし、ドイツはメルケル首相引退でEUはますます暗雲が立ち込めています。一体誰が世界の指導者なのか?  日本の安全保障はどうなるのか、食料の自給率はこれでいいのか? 混迷の時代が加速しようとしています。  しかしそれは逆に、良いチャンスでもあります。自分の住む国のことをより深く考えることができるからです。 日本人は寄らば大樹の陰で、戦後ずっと過ごしてきました。世間が決めたこと、テレビや新聞などマスコミが伝えることに右往左往してきました。  ですが今こそ、自分で考えてみましょう。私自身、自分で考え自分で行動する一年にしようと決意を新たにしております。木曜午餐会の学びが、自分で考えることの一助になることを願っています。

 

 

日本語を学ぶ人がアメリカ一多い ハワイで、さらなる文化交流を

伊藤 康一 総領事

 

昨年は日系移民150周年の節目の年で、私自身、日系移民の歴史を学ぶ機会に恵まれました。

150年前の1868年6月、初めての日本人移民が150余人、横浜からハワイに出航したわけですが、これはヴァン・リードという雇われハワイ国領事の、かなり荒っぽい見切り出航だったようです。当時は幕末維新の混乱期で、新しく変革した明治政府は移民に難色を示していた。移民したのは、脱藩浪士や家を継ぐことのない次男坊や、放蕩者もいたんでしょうね。ハワイがどこかもわからなかったけど、一花咲かせたい一心で応募したようです。

移民を募った理由は、ハワイの一大産業であったサトウキビ畑の労働者の不足です。ネイティブなハワイアンたちは、西洋人が持ち込んだ疫病で多くの人が次々と死んでしまっていた。ハワイ王朝は中国と接触し、広東省から年季奉公の移民を入れたりしていましたが、中国人はサトウキビ農夫よりも小商いなどが得意で、働き手が依然不足していた。

それで、日本に滞在経験のあるヴァン・リードに移民の依頼をしたそうです。ところが日系移民も、農業の経験が乏しい者が大半で、炎天下で一日10時間以上の重労働に悲鳴をあげた。英語も皆目分からないし、日本食もない。

そんな状況を放っておくことはできないと、明治政府はハワイに使節団を送り、賃金条件を取り決め、3年間の年季労働の取り決めをしたのです。使節団というのは外務省の私の大先輩に当たるわけです。

正式に日本国総領事館ができたのは1886年で、世界にある総領事館の中で最も古いものの一つです。今もヌアヌの同じ場所にあり、ホノルルの移民波止場から一直線に来れる場所です。

また当時の日系人には苗字がなかったので、名前を登録する際に、徳次郎さんは徳に起源を持つTokoを、国造さんはKuniをファーストネームにしたそうです。今でもトコさんやクニさんという名のローカルの方が実際におられるそうです。

新年は2月24日までビショップ博物館で、日系移民150周年の特別展示をしています。豊富な資料をていねいに編集して展示していますので、ぜひご覧ください。150年前の写真もあるので興味深いです。

ハワイは今、日系3世4世の時代で日本語を話せない人も多く、どうしたら日本的な文化を引き継いでいけばいいのか、私たちも模索しています。反面、ハワイでは日本人の血を引かない人々の多くも、日本語を勉強してくれています。ですから日本への関心は非常に高い。

今年はハワイで52年ぶりとなる、歌舞伎公演が開催されます。中村芝翫(しかん)さんと子息3人、歌舞伎界初の親子4人揃っての襲名披露公演です。長唄の人間国宝である鳥羽屋里長(とばやりちょう)さんと、『2019ホノルル歌舞伎』実行委員長の鳥羽屋三右衛門(さんえもん)さんの親子共演もあり、大変豪華で楽しみな興行です。

世界が待ち望む日本の伝統芸能の歌舞伎は、2017年日中国交正常化を祝う北京公演、2018年文化交流100周年を祝うパリ公演、そして2019年のハワイ公演と続いています。北京、パリ、ホノルル、ホノルルは世界三大都市の仲間入りです(笑)! 公演は3月2日からですので、ぜひともお越しください。

また2020年東京オリンピックでは、サーフィンが初めてオリンピック競技として行われます。サーフィンのメッカであるハワイで、なにかオリンピックつながりのあるイベントを開催することはできないのか、良いアイディアが出るのを期待しています。日本とハワイの文化、スポーツを総領事館としてもっと応援できる一年にしたいと思います。

 

 

ハワイで52年、今年90歳です おしゃれ大好き、シャネルで働いておりました

浜井 万亀子 午餐会メンバー

 

現在の午餐会で7人目となる90歳、長寿のお祝いをされた万亀子(まきこ)さん。なんておめでたいお名前! 「本名ですよ(笑)、福岡出身ですが同名の人には会ったことがないですね。午餐会には毎週出席しています。2年前まで自分で運転して来ていたけれど、最近は娘に送り迎えしてもらっています。歴史とか健康がテーマのお話しは面白いですね」

シルクカシミアのファッション、とってもおしゃれさんですね! 「ありがとう、ホノルルのシャネルで10年ほど働いておりました。おしゃれしてメイクして外出すると、若々しい気持ちになります」