日刊サンWEB

過去記事サイト

マウナケア山頂 カマアイナに開かれる 50年の歴史で初 天文台ツアー開催

Bynikkansan

1月 23, 2016

ネイティブハワイアンが主導する世界最大「30メートル望遠鏡」(TMT)の建設反対運動に対し、ハワイ州最高裁判所が下した建設許可無効の判決は、ハワイの天文学コミュニティにずっしりと重くのしかかっている。

 

しかし、マウナケア観測所コミュニティは土曜日に反撃を開始した。

 

ハワイの最高峰マウナケアにある国際的な望遠鏡は、50年の歴史において初めて、ハワイ州住民向けのツアーのためにその扉を開くことになった。

 

「マウナケア天文台は、その天文学的な貴重な発見によって、ハワイを地球上で最も尊重すべき場所の1つにしているのです」とカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡のエグゼクティブディレクター、ダグ・シモンズ氏。

 

「このプログラムがハワイの人々の天文学への情熱を喚起し、そして将来的な環境や文化への理解を深めてくれることが私達の心からの願いです」 無料で開催されるこのツアーが、コミュニティに新しい視点を生み出し、山をめぐる対立を解決する「重要な糸口」となることを望んでいるとシモンズ氏は語る。

 

観測所は12日、マスメディアに向けてそのツアーの内容を公開した。ドームの中にそびえたつ巨大な望遠鏡、1万3000フィートの高地の透明度の高い空気や明るさがとても印象的だ。

 

「こんな経験は他ではできません」とツアーをコーディネートしたジェミニ北望遠鏡のジョイ・ポラード氏。

「まるでキャンディーストアーにいる子どものように、私は決してその経験に飽きる事がないのです」

18日に開催された初のツアーでは、チリにあるジェミニ南望遠鏡のツイン望遠鏡であるジェミニ北望遠鏡、そしてカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡が公開された。

 

「世界で最高の科学は、この山から始まります」と、コーディネーター補佐であるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡のメアリー・ベス・レイシャック氏。

 

このツアーで人々は不安定な運命に揺れている14億ドル(約1680億円)の次世代望遠鏡TMTの状況を目の当たりにする。  TMTプロジェクト当局は、次に何をすべきかを決断する前に、プロジェクトの再開許可を受けるための新しい行程表が州政府から提供されるのを待っているところだと話す。

 

マウナケアの天文学者たちは、TMT計画が立ち消えになれば莫大な連邦予算が無駄になると主張する。山頂にあるサイエンス・リザーブをターゲットに今後数十年に亘ってTMTへの抗議活動が続き、プロジェクトへの投資が慎重になれば、既存の天文台へのアップグレードも行われない恐れがある。

 

長年に亘ってマウナケアの天文台に抗議し、TMT問題の訴訟当事者であるケアロハ・ピスチオッタ氏は、マウナケア山頂の施設がゴミや汚水の問題を現在も抱えていることを人々が知るべきだと話す。

 

一方で、このツアーには少なくとも一人、強力な支持者がいる。

 

バラク・オバマ大統領は、昨年10月、このツアーが発表された後、ホワイトハウスで行われたアストロノミー・ナイトに集まった参加者に向けてこう話した。

 

「私がハワイのハイスクールに通っていた頃は、こんなツアーはなかった。もっと早くこのようなツアーを行ってほしかった」

 

このツアーには、マウナケアビジターセンターから山頂への送迎、文化的概要の講義、ハレポハク中間宿泊施設での環境と安全に対する1時間ほどのオリエンテーション、30分から一時間ほどのマウナケアの2つの天文台の見学が含まれている。

 

マウナケアに現在ある13の天文台のうち、月替わりで毎回2つの天文台がツアーの見学者を受け入れる。  このツアーに参加する天文台は、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡、ジェミニ北望遠鏡、ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡、NASA赤外線望遠鏡施設、すばる望遠鏡、サブミリ波干渉計、W・M・ケック天文台などが含まれ、将来は「30メートル望遠鏡」(TMT)も参加する予定だ。

 

「カマアイナ・オブザバトリー・エクスペリエンス(The Kamaaina Observatory Experience)」と題されたこのツアーは、ハワイ州の住民が対象で、毎月第3土曜日に開催。16歳以上で、有効なハワイ州のIDの提示できる人が参加できる。1回に24人の予約を受け付ける。予約は先着順となり、一ヶ月前から予約が可能。1つの申込みで最大5名の予約ができる。

 

1月のツアーには、ツアーが発表された昨年10月以降にEメールを送り興味を示していた人が招待された。  詳細な情報とツアーの予約はWEBサイトkamaaina­observatoryexperi ence.orgで。