マウナケア山頂に超巨大天体望遠鏡を建設する14億ドルのプロジェクトを進行中のTMT(The Thirty Meter Telescope)のウェブサイトが、26日日曜からサイバーアタックを受けている。
日曜午後に最初のサイバーアタックが発生し、27日月曜日になってからもTMTのウェブサイトのサーバーが定期的に使用できなくなっている。「この事件については現在調査中です」とTMTハワイ・コミュニティマネージャー、サンドラ・ドーソン氏は述べている。 また、日曜午後、ハワイ州のウェブサイトも2時間ほどダウンしていた。午後2時にバックアップサーバーが設置され、午後4時40分までにすべてのサイトが使用できるようになった。サイバーアタックを工作しているのは、明らかにハワイの外部の人間であり、ハワイ州とはなんのコネクションもないとドーソン氏。
反TMT側のリーダー、ケアロハ・ピスシオッタ氏は、州とTMTのウェブサイトへのサイバーアタックについて、非暴力のムーブメントにまったく適さないものであると述べている。 「私たちは誰にも傷ついてほしくありません。皆さんに知ってほしいのは、私たちは言論の自由を抑圧したくないということです。すべての側でより深い理解を得るために、私たちには対話が必要です」
ハッカー集団「Anonymous(意:匿名)と関連している「オペレーション・グリーン・ライト」として知られるブログサイトが、サイバーアタックについて認め、ブログサイトには「エコシステムの破壊が正当化されることは今後もないだろう。汚れた金は、決してエコシステムの代わりを果たすことはできない。TMTに反対するため、ハワイアンたちと共に立ち上がろう」と記載されていた。
ピスシオッタ氏は、この団体が権力とのバランスを取ろうとしていることは理解できるが、彼らの手段については認めることができないと述べている。 「私たちは何かをシャットダウンする必要はありません。物事をオープンにする必要があるのです。私たちは、州やTMTがシャットダウンされるのを見たくありません。その代りに、州やTMTと話し合いたいのです」
元天文台技師だったピスシオッタ氏は、マウナケア山頂の開発と何年も闘ってきた。サイバーアタックは、この運動に望まない結果をもたらすのは明らかであると語った。マウナケアを守るキャンペーンは、主にインターネットとソーシャルメディアのおかげで世界中の注目を集め、多くの議論をつくりあげてきた。
セレブリティや有名スポーツ選手が、TMT建設への反対を表明し、オンライン上での署名を呼びかけるため、自分の体に「We Are Mauna Kea」というフレーズを書いて写真を撮り、ソーシェルメディアなどで公開することによって、キャンペーンを助け、後押ししてきた。
マウナケアのサポートを表明しているスターには、「ゲーム・オブ・スローン」のジェイソン・モモアや「ロスト」のイアン・サマーホルダー、映画俳優ロザリオ・ドーソン、シンガーのニコール・シャージンジャーやアヌヘアなどが、また、有名スポーツ選手には、元総合格闘技チャンピオンのBJ・ペンや、プロサーファー、ケリー・スレーター、ダスティン・バルカ、カラ・アレキサンダー、サンフランシスコ・ジャイアンツのピッチャー、マディソン・バンガーナーなどが含まれている。
27日月曜日に元ハワイ・レインボー・ウォリアーズのスターで、現在セントルイス・カーディナルスに所属するコルテン・ウォンが、インスタグラムで公開した写真には、バットに「We Are Mauna Kea 」と金の文字で刻まれていた。ウォンは「自分にとってとても大きな意味があるものをスイングするのはエキサイティングだ」と書いている。 現在、オリジナルのProtectMaunaKea.Org のウェブサイトを真似したサイトが26あるとピスシオッタ氏。その中のいくつかには、ProtectMaunaKea.Orgの「ヴァーチャル・マーチ」と同じようなページがあり、世界中の人々が写真やサインを投稿している。 この数週間で、数えきれないほど多くのブログや、フェイスブックのページ、その他のサイトがインターネットに登場している。少なくとも募金サイトは7つ、オンラインの署名サイトは5つある。この中には約57,000人の署名を集めたサイトも含まれている。
中には実際のデモンストレーションの写真を掲載しているものもある。例えば、カルフォルニア州パサディナのTMTオブサーバトリー社の本社や、ジェット・プロパルジョン・ラバトリー・アンド・カルテックや、カリフォルニア州パロアルトにあるTMTの資金調達組織、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア・ファンデーションでの運動など。急速に成長したムーブメントから、次はどんなことが起こるのか、コントロールすることは難しいとピスシオッタ氏。しかし、リーダーたちは手本として運動を先導する意向である。 「私たちがアロハのメッセージを使い続ける限り、物事を癒す助けとなると思います。そうでなければ、本当に論争好きだと見られてしまう可能性があるでしょう」