ハワイ唯一の砂糖生産者が、数週間以内にマウイ島で143回目の収穫シーズンを迎える。これは、砂糖がハワイで最も重要な生産物だった時代から持ちこたえてきた最後のプランテーションである。
しかし、この由緒ある「ハワイアン・コマーシャル・アンド・シュガー社(HC&S’)」は、綿密な調査を受けることになりそうである。遺伝子組み換え作物の生産企業に対する投票での、ありそうもなかった勝利に続いて、環境保護局が調査を行っており、それに励まされたマウイのアクティビストらは、サトウキビの焼畑に狙いを定めているためである。
「市民は最終的に自分たちに力があることに気づいたのです」とキヘイのソーシャルワーカー、ブラッド・エドワーズ氏は語る。エドワーズ氏は、焼畑農業に対して厳しい監視と規制を押し付ている。
焼畑に懸念をしめす住民らの圧力の下、州厚生省はHC&S’社の2015年の焼畑許可についてコミュニティミーティングを開催することを検討していると、クリーン・エア局のマネージャー、ノーラン・ヒライ氏は述べている。
一方、環境保護局は、プランテーションが連邦政府のクリーン・エア規制に従っているかどうかを調査していることが明らかとなっている。同局は11月24日に7ページの書類をHC&S’社に送り、同社のバイオマス発電所と焼畑農法に関しての書類と記録を求めている。
環境保護局のスポークスマン、ディーン・ヒグチ氏は、この件について話すことはできないと述べている、しかし、同局のクリーン・エア部門のケリー・ドレイク氏は、マウイの男性にEメールで対応している。この男性は、12月の焼畑によって喘息の発作が引き起こされたと苦情を申し立てており、環境保護局は「この件を深刻に受け止め、状況について現在正式な調査を行っています」と述べている。
プランテーションのジェネラルマネージャー、リック・ヴォルナー氏は、環境保護局に対して同社は「返答に向けての入念な段階」であるとだけ答えている。
この数10年の間で、ハワイの砂糖プランテーションは次から次へと閉鎖していった。HC&S’社は良い時と悪い時の浮き沈みを経験してきた。同社は、マウイ島中央部の36,000エーカーの広大な土地で運営している。
このアレキサンダー・アンド・ボールドウィン社の子会社は、マウイの経済に何世代にも渡って大きな力を持ってきた。
現在、同社は年間に15万から20万トンの粗糖を精製しており、6万トンの糖蜜も生産している。800人の従業員を抱えるHC&S’社は、今でもハワイ最大の企業のひとつであり、年間の経済利益は2億5000万ドルを超える。この中には、給料や福祉手当、ベンダーの購入費も含まれている。
しかし、かつては孤立したサトウキビ畑だったマウイ島は、人口の増加と共に住宅開発が土地を浸食している。同社は住民からの圧力を感じている。特に風下の住民は、地上部分に流れてくる極端な煙と灰や、健康問題の悪化について不満を述べている。
コミュニティの懸念は深まり、この数10年激化している。1997年、訴訟を起こす運動が起こったが、尻すぼみに終わった。しかし、250人以上がキヘイ・エレメンタリースクールのカフェテリアに集まり、不満を発散させた。焼畑が行われるときに風下となる住民たちは、健康への不安や「マウイ・スノー」と呼ばれる黒い灰について話し合った。
2003年、HC&S’社は収穫の代用案を探し、焼畑を止める計画を発表した。2010年、同社はプランテーションをバイオ燃料生産を目的とした発電所に転換することを検討していることを発表した。しかしどちらのケースも。経済的に実現不可能であることが分かったと同社は発表していた。