@Shutterstock.com
ポリネシア人移住の歴史の理解を広め、60年以上にわたる発掘調査研究で世界的にも著名な考古学者、篠遠喜彦氏が4日老衰のため93歳で逝去した。
「彼はポリネシア考古学界の巨人でした」と、ビショップ博物館の役員で考古学者のパトリック・キルヒ氏は語る。「彼の研究は、東ポリネシアとハワイ諸島への人類定住を理解する上での基礎を築いたのです」と、同氏。
篠遠氏はマルキーズ諸島、ソシエテ諸島、タヒチ、ハワイのサウス・ポイントの重要な発掘現場で、発掘作業の早期に活躍。ポリネシアの人類定住のタイミングを明らかにした。ハワイでは陶器が発掘されないため、発見された釣り針や手斧への篠遠氏の洞察力がとても有益だったという。
「彼は釣り針がどの島からきたものか判断できたのです」とキルヒ氏。フアヒネ島での航海カヌーの舟板とマスト、パドルを含む歴史的な発見の数々でも功績を残した篠遠氏は、1989年にビショップ博物館のケネス・P・エモリー人類学上席研究員に任命された。
同氏は1924年に東京で生まれ、戦後カリフォルニア大学バークレー校へ向かう途中、ハワイで優秀な考古学者を待ち構えていたエモリー氏と出会う。その後バークレーには足を踏み入れることなくエモリー氏の助手となり、65年間を太平洋の考古学の研究に費やした。1995年に日本政府より旭日双光章の勲章を受け、2000年にはタヒチ政府より騎士の称号を授与された。
ビショップ博物館暫定館長のリンダ・リー・クウレイラニ・ファーム氏は「篠遠博士は太平洋の人々とその歴史の理解を世界に広めた偉大な功績で、今後も世界的に称えられていくでしょう」とコメントした。
(日刊サン 2017. 10. 14)