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ハワイ不動産ニュース:ホノルル市長,短期賃貸物件に新法案を提出

カーク・コールドウェル市長が26日、居住するオーナーが自宅をベッド&ブレックファースト(B&B)の施設として営業する許可を与える法案と、住宅ゾーンにある物件を所有者が居住しないバケーション・レンタルとして営業することを禁止する法案を発表した。

 

市長は、Airbnbやエクスペディア等で紹介されオンラインで予約できる短期賃貸物件の急増への対応が急務であることを主張。「近隣住民や観光産業への影響が大きくなっています。可能な限り公平なバランスがとれるよう努力しています」と市長は述べた。

 

新規の短期賃貸物件は1989年に市が禁止条令を発令して以来許可されていない。しかしこの30年間増加し続けており、オアフ島に現在およそ1万戸あると見込まれている。そのうち公的に認可を受けている施設は約800戸のみ。バケーション・レンタルの支持者は、これらの施設が観光客の選択肢を増やし家主の収入源になると主張。反対派はハワイの枯渇する住宅市場を悪化させ、閑静な住宅街のインフラに大きな負荷をかけると反論している。市長は今回の2本立ての法案で、双方の主張への対応を図ると述べた。

 

まず短期賃貸物件のうちバケーション・レンタル(TVU)とB&Bを区別する。TVUは物件所有者が在宅しない状態で利用者に30日以下の期間物件を貸し出す施設とし、B&Bは1戸建物件に所有者が在宅する状態で利用者に30日以下の期間部屋を貸し出す施設とされた。法案では、アパート、ビジネス、リゾート、複合施設としての許可を得ていない住宅ゾーンの物件をTVUとして営業することを禁止。またTVUは8つの都市計画エリアや持続可能性コミュニティ開発計画エリア内の住戸のうち1%を超えないユニット数までに制限される。市によればオアフ島内におよそ4000戸までとなる見込み。B&Bは必要な基準を満たしていれば住宅ゾーンで営業可能で制限数もない。ただしB&Bは1件につき客室は2部屋までの提供で、宿泊客は最大4名までとされる。 どちらの施設の場合でも、市から営業許可と認可番号を付与される必要があり、住宅所有者免税申請を受けている証明を提出しなければならない。どちらの施設も一般消費税、宿泊施設税を徴収しなければならず、保険加入、1客室につき1台の駐車場、騒音制限時間、煙と一酸化炭素の検知器設置が必要となる。

 

現在一戸建住宅の固定資産税は、物件の査定額1000ドルにつき3.50ドルだが、TVUのオーナーはホテルと同等の1000ドルにつき12.90ドルの支払いが求められる。B&Bの場合は固定資産税が1000ドルにつき6.45ドルになる。また、認可登録料金として登録時にTVUは1200ドル、B&Bは800ドルの支払いを求め、年間費用としても各々500ドルと200ドルが設定されている。法案で提案された違法営業が判明した場合の罰則は、初回の摘発には2万5000ドル、2回目は5万ドル、3回目は10万ドルの罰金。以降の違反は物件が差し押さえられ、違法営業による利益は市が没収する。市長は、違法営業者を摘発を目的とした第三者によるインターネット広告調査も継続する意思を表明した。他にも市長は2つの法案を提出。1つはバケーション・レンタルに関連して建築検査官に対し虚偽の供述を取り締まる内容。もう一方の法案では、住宅を売却する際に近隣にバケーション・レンタルが許可されているどうかを明示することを義務付けている。市長の提出した法案は現在、市議会と市の計画委員会の審査に進んでいる。

 

(日刊サン 2018.08.04)