州の上院歳入委員会が3日、ハワイ観光局(HTA)への資金を大幅に削減する法案を可決した。
委員会の上院議員9名全員が賛成票を投じた下院法案2010号は、HTAに拠出される宿泊税の40%を他の州機関に再配分する内容。現在HTAは州議会を通して宿泊税収から1億850万ドルを受け取っており、そのうち2,650万ドルはハワイ・コンベンション・センターの資金とされている。そもそも2010号法案はHTAが負ったコンベンション・センター建設のための借入金を帳消しにする内容だった。しかし上院経済開発観光技術委員会によって、下院財政委員会が取り上げなかった上院法案2224号の内容に置き換えられている。最新の2010号法案では、コンベンション・センター資金を600万ドル、HTAへの資金を6,030万ドルにカット。ドノバン・デラ・クルス議員主導でWCITアーキテクチャーとDTLハワイと提携したプロジェクト『ハワイアン・ミュージック・アンド・ダンス・センター』設立資金として100万ドルを拠出する。委員会のメンバーであるデラ・クルス議員に利益相反が生じる可能性があることや、法案の内容を置き換えた根拠について浮上している批判に対して、歳入委員会はコメントしていない。デラ・クルス議員は以前、自身が外部活動として加わっているWCITやDTLハワイは問題にならないと表明している。同議員は、歳入委員会がHTA資金の再分配を支持する理由として、コミュニティが寄せる観光業界の成長力への不安に対処するためだと述べた。「現在の水準を維持する為にHTAに資金を提供していますが、より多くの観光客を得るために提供を続けることはできません」と同議員。
HTAへの拠出金見直しを支持する住民は、産業経済開発観光局や土地自然資源局に資金が分配されることに賛成だとし「経済発展の視点から、観光の資金が産業開発に回るのは妥当だと考えます。私たちは観光に長い間頼りすぎています」と話す。最近の観光業界の成長は違法バケーション・レンタルによるものであり、住宅価格やインフラ、自然資源に悪影響を及ぼしているという意見も。一方HTA代表でCEOのジョージ・シゲティ氏は、昨年ハワイに940万人が訪問し消費額が168億ドルに上ったことで、20万4,000人の雇用を支え、州に20億ドルの税収をもたらしたと語る。「HTAに拠出された資金はすべて、ハワイのマーケティング、コミュニティへの投資につながるプログラムや活動の開発、住民と観光客への重要なプログラムの支持や州経済に利益をもたらすために使われています」と同氏は述べた。KV&アソシエイツとホスピタリティ・コンサルティング社の代表キース・ヴィエラ氏は、HTAが宿泊税収を2014年の3億9,500万ドルから2017年には5億800万ドルに増加させたのにも関わらず、税収から分配される資金は低いままだと指摘する。「観光市場に強いライバルがいる状況でHTAの資金を奪うなんてばかげています。成長は自動でするものではありません。航空機の座席利用率が下がれば、航空会社は就航先を他の観光地に乗り換えてしまうでしょう」と同氏は述べた。
(日刊サン 2018.04.14)