ハワイ州最大のトマトの生産者が、生産を止めることを決定したため、ローカル産のトマトの生産量は大幅に減少するとみられている。
ハワイ島のハマクア・スプリングス・カントリー・ファームは、11月末にトマトの生産を終了した。このため、州内のCostcoやフードランド、セーフウェイ、ホールフーズなどの小売店から、同社のハイドロポニック・トマトが姿を消した。
同社のグリーンハウスとハイドロポニックシステムは、交換が必要になっていたが、トマトの生産を始めた2002年当初に投資した金額の3倍の費用がかかることがわかったと、ハマクア・スプリングスのリチャード・ハー社長は述べている。
「そんな賭けはできません。トマトはもう生産していません」
同社は約15エーカーの敷地に140のグリーンハウスを所有していた。シャットダウンに伴い、従業員は解職された。
ハマクア・スプリングスはこの数年、年間2百万パウンドのトマトを生産していたと報告されており、ハワイ島とオアフ島へ定期的に出荷している主要トマト生産者だった。マウイ島とカウアイ島にも随時出荷していた。
しかしながら、同社の撤退によるマーケットへの影響をはかるのは難しい。なぜならば、競争をあおるような情報から農家を守るため、国立農業統計サービス局は2008年に州のトマト生産量を報告することを止めているからである。
2007年、ハワイでは1430万パウンドのトマトを生産していた。これに対して、マーケットのシェアの77パーセントを占める輸入トマトは430万パウンドだった。
トマトはハワイの10大商品作物であり、時にはバナナやパパイヤよりも商品価値が高い。2007年は、トマトによって生産者は990万ドルを得ることができた。
ハマクア・スプリングスの撤退によりできた隙間を、別のローカル生産者が埋めてくれることを期待しているとハー社長は語っている。
「トマトの生産を成功できる人にとって、これはマーケットの開放です」
ハー社長はもうトマトを生産していないが、150エーカーの農地ではハマクア・スプリングス・ブランドとしてバナナは生産している。ハー社長が農業を始めたのは40年前、父親の養鶏所の一部でバナナを作り始めたのが最初だった。それがやがてケアアウ・バナナとして成長した。それがマウナ・ケア・バナナとなり、その後ハマクア・スプリングスとなった。
ハマクア・スプリングスには600エーカーの農地があり、他の農家にも農地を貸している。また、ハー社長はハイドロエレクロリックの発電工場も所有しており、今年初めに農地に電力を供給し始めていた。