ハワイ州農務局(HDOA)は、3年前に米国環境保護庁(EPA)に提出された公民権侵害の申し立てに応じ、農薬使用規制強化するための具体的な措置を取ることに同意した。 この協定に基づき、同局は、州内での「使用制限農薬」の使用について、そのウェブサイトで情報を提供することになる。情報は、使用量、許可番号、製品名、有効成分、その他詳細についての郡別の要約を含む。しかし、この協定は、同局が不正行為を認めたという意味ではない。
環境保護団体のアースジャスティスの弁護士のカイリー・ウェイガー・クルーズ氏は、EPAの対応は良いスタートではあるが、農務局は広い権限を持っているにもかかわらず、地域社会の農薬汚染を制限するための十分な努力をしていないと指摘した。 同団体は2016年、EPAに対し訴えを起こし、農務局はウェスト・カウアイとモロカイに住むネイティブ・ハワイアンを大量の農薬の使用から適切かつ平等に保護していない、と主張した。
アースジャスティスによると、何千エーカーもの種子作物農場での農薬散布により、農場労働者、教師、生徒たちが病院に送りこまれ、小学生は咳、鼻血およびアレルギー発作に襲われた。 農務局とハワイ・アグリビジネス開発公社は、公民権法第6編を遵守していない、とアースジャスティは主張している。公民権法第6編は、米国において連邦補助金を受ける事業を行う上で何人に対しても人種、皮膚の色、出身国などの理由で排斥などの差別行為を行うことを禁止するものである。
この訴訟を起こしたのは、2つのコミュニティ・グループで、モロカイ島の草の根グループの「ママズ・オン・ア・ミッション・フイ」とウェスト・カウアイの「ポ・アイ・ワイ・オラ」である。 農務局は、既存の連邦法および州法を遵守し、差別行為があれば、その通報を適切に掲示・公開することに同意した。また、2013年に施行された「グッド・ネイバー・プログラム(善隣友好プログラム)」に則り、農業法人はすでに自主的に使用制限農薬の使用を毎月報告している。 昨年6月にデイビッド・イゲ知事が署名し成立した第45号法案により、すでに多くの規制が実行されている。
この新法は、世界で最も広く使用されている殺虫剤のクロルピリホスの使用を2023年から禁止し、ハワイでの農薬使用のより厳格な開示を義務付けている。クロルピリホスを含む農薬の使用は、2022年12月31日までは、暫定認可証を取得すれば許可される。 同新法は、使用制限農薬を使用する者に対し、農務局に毎年標準フォームを使った報告書の提出を義務付けている。 さらに、新法は、通常の授業時間内にすべての学校から100フィートの緩衝地帯を設定することを要求している。農務局は、どの学校が緩衝地帯を持っているかを示す地図をウェブサイトに掲載する。
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Hawaii Tourism Authority (HTA)/Dana Edmunds
(日刊サン 2019.06.22)