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 ハワイ州は、州が所有する低所得者向けの賃貸物件をハワイの不動産デベロッパー、スタンフォード・カー社とロサンゼルスのスタンダード・プロパティーズ社に来年4月に1億7,000万ドルで売却すると発表した。

 低所得者向けのカウハレ・カカアコほか5つの複合アパートを売却するのは、州のハワイ・ハウジング・ファイナンス・アンド・ディベロップメント・コーポレーション(HHFDC)で、同社は「この取引は州にとって大きな利益となる」と述べている。取引は来年1月から開始され、同年4月には全ての物件の売却を完了する予定だ。また、州政府機関は「今後35年間に渡り、テナントの多くが受け取っている家賃補助を上げることで賃料上昇を制限し、既存のテナントを守る」と述べている。

 新しいオーナーとなる2社は、買収後3年以内に5390万ドル(1ユニットあたり平均4万4000ドル)の費用をかけ、物件をリノベーションする契約をしている。HHFDCは「この取引で州が得る純収入8100万ドルは、新たな低所得者向け賃貸物件の購入に充てられる。

 一方、今回州が売却する6つの複合アパート建設時の負債に対して年間630万ドルが節約できる見込みだ。州の調達ルールの問題から、これ以上我々が低所得者向け物件を維持することは難しい」と述べた。

 売却される予定の複合アパートの所在地は、それぞれ、カウハレ・カカアコ、カマケエ・ビスタ、ポフラニ・エルダリーがオアフ島のカカアコ地区、ケクイラニ・コーツがカポレイ地区、ライラ二・アパートメントがハワイ島のコナ地区、ホノコワイ・カウハレがマウイ島のラハイナ地区だ。現在のところ、このアパート群の月額賃料は、942ドルから1,268ドルとなっている。

 物件の売却後、現在の居住者が払う年間賃料は、最初の5年間で2%ずつ引き上げられ、その後30年間は5%ずつ引き上げられる予定だ。ポフラニ・エルダリーのみ、現在の居住者が住む限り2%の引き上げ上限を継続する。

 州が実施した入札には、19件の応募があり、最高入札額を提示したのがスタンフォード・カーとスタンダード・プロパティーだった。

 取引は、14日、HHFDCの取締役会議において全会一致で承認された。売却後の物件管理は、現行の不動産管理会社、 ハワイ・アフォーダブル・プロパティズ・インクが請け負う。

 HHFDCは、この取引における契約条件の1つとして、現在入居中の580人の低所得者に対し、引き続き月額250ドル援助を行うとしている。高齢者向け住宅のポフラニでは、この援助が最大で250ドルから300ドルに引き上げられ、20年間継続される予定だ。

 HHFDCが支援を行なっていないケクイラニ・コーツでは、賃料制限の期限が切れる際、2023年から5年間に渡り、最大で500ドルの補助金が支給される。その他4つの物件では、今後5年間で最大援助額が175ドルから225ドルへ、次の5年間で500ドルへ引き上げられる。 家賃援助の総費用は2330万ドルになる見込みだ。

 ホノルル市の世帯収入(平均独身者の場合で4万3,980ドル、4人家族の場合で6万2,760ドル)の中間所得の60%を下回るテナントがほとんど。

 新しい入居者は、ポフラニとケクイラニの場合中間所得の80%以下、他の物件では中間所得60%以下となる見込みだ。

 その他4つの物件の最大賃料は、所得が中間値を下回る人に払いやすい金額となる。中間所得80%以下の人が支払う賃料は、スタジオで最大1,466ドル、2ベッドルームで最大1,884ドル、一方で、中間所得以上の入居者の場合、それぞれ1,832ドル、2,355ドルとなっている。942ドルの賃料の場合、年間2%の賃料引き上げは、5年後の月額賃料を1,040ドルへ、5年後以降の年間5%の引き上げで、10年目後には1,327ドルまで引き上げられる見込みだ。

 

売却される低所得者向け物件

ポフラニ・エルダリー :263ユニット(高齢者向け)

カウハレ・カカアコ :268ユニット

カマケエ・ビスタ:226ユニット

ケクイラニ・コーツ : 80ユニット

ホノコワイ・カウハレ :184ユニット

ラニラニ・アパートメンツ :200ユニット

 

(日刊サン 2017. 12. 27)