5月のハワイのホテル業界は、平均宿泊料金が前年並みを維持しているが、需要と稼働率が低下し、軟化傾向が続いている。 データ分析会社のSTR社の統計を基にハワイ州観光協会(HTA)が作成した報告書によると、5月の平均宿泊料金(ADR)は昨年同月比1%以上上昇して256ドルとなったが、客室稼働率は0.125%低下し79.2%となり、宿泊可能な1室あたりの収入(RevPAR)は203ドルと横ばいだった。
5月の州全体のホテル収入は、1%以上減少して3億3千900万ドル強となった。5月中にいくつかのホテルは改装のため、全館もしくは一部が閉鎖された為、供給客室数が2%近く、つまり2万6千室、減少した。しかし、5月の需要の落ち込みは供給客室の落ち込みよりも大きく、3%近く(約3万4千室)減少した。 宿泊料金は需要と供給に大きく関連する。
ホテルの供給部屋数が少ないと、部屋の取り合いが発生する。しかし、需要が供給よりも急速に落ち込めば、市場全体もしくは市場の一部が弱まっている兆候である可能性がある。下がった宿泊料金を元に戻すことは難しいため、ホテルは通常、需要が減少した時には、施設内の割引、無料宿泊、その他の特典を提供し、客数を増やすよう試みる。それがうまくいかない時になって初めて、宿泊料金の変更を行う。
「ADRの上昇が長期間にわたる稼働率の低下を補えない場合は、市場が下降傾向に入ったという兆候である」とホスピタリティー・アドバイサーズ社のジョセフ・トイ社長は述べた。 1〜5月の州全体の業績(昨年同期比)を見てみると、ADRは280ドルとほぼ横ばいで、客室稼働率は2%以上減少し80%となり、RevPARは2%以上減少しほぼ224ドルになった。 1〜5月の供給客室数は2%近く減少したが、需要はそれ以上減少し4%以上の減となった。1〜5月のホテル売上は4%近く減少し、18億ドル強となった。 KV&アソーシエイツ・ホスピタリティ・コンサルティング社のキース・ヴィエイラ社長は、夏の予約状況は1-5月よりも改善しているようだが、それでもまだ軟調である、と述べた。
「予約のペース、訪問者数の地域別割合、国際市場の軟調、を考えると、6月18日のカウアイ島の抗議行動-人々が車のボンネットの上で暴れていた-のような狂気の沙汰は、恐ろしい。ソーシャル・メディアで大きく報道され拡散され、観光業に悪影響を与える。我々は、観光業をうまく管理をしなければならない。そうしなければ、すでに軟化している観光市場をさらに悪化させることになる」とヴィエイラ氏は述べた。
(日刊サン 2019.07.09)