商業不動産仲介業者のコリアーズ・インターナショナルが発表したレポートによると、今年の半年間でハワイの商業不動産の取引額が30億9000万ドルを記録したことが分かった。今年はカリヒのラブズ・ベーカリーや、マウイの10億ドル規模のホテル、エヴァ・ビーチの約1500戸の賃貸住宅等が市場に並び、昨年を超えるペースで売上額を伸ばしている。昨年の前半6カ月の取引額は、30億8000万ドルだった。コリアーズは今年の総取引額は40億ドルを超えると予想しており、2014年の年間取引額45億7000万ドルを超えるか、注目が集まる。 しかし、物件の在庫は減少傾向にあり今年末までには取引が鈍化する可能性もある。一方で連邦の税改正の恩恵や、不安定な株式市場によって不動産投資の魅力が増す背景にあって、投資家達からの需要は好調だ。コリアーズはレポートで「不確実性を拒絶する資本市場において株式市場の不安定さに動揺が高まっている。この状況が多様性を求める投資家達へ不動産を優先的な選択肢とさせている」と述べた。
今年6月までには、商業不動産の特に大規模な取引が複数あった。グランド・ワイレア・リゾートは11億ドルで売却され、アンダーズ・マウイは2億8800万ドルで取引された。エヴァ・ビーチの1455戸の賃貸住宅「カピリナ」は5億4000万ドルの価格が付いた。アレクサンダー&ボールドウィンは2月にオアフとカウアイ、マウイのショッピングセンター3件を2億5400万ドルで購入している。コリアーズによれば1億ドルを超える取引は8件。100万~300万ドルの価格帯の取引件数が最も多かった。今年の6カ月間の総取引件数は117件で、昨年同期の156件よりも20%減少していた。購入者で最も多いのが、ハワイの投資家で84件。本土の投資家は28件で国外の投資家は5件とされた。日本のクレイサス社が、ラブズ・ベーカリー跡地を2700万ドルで購入している。中国の投資家については近年コ・オリナ・リゾート&マリーナやカポレイで住宅開発用地を購入する等目立っていたが、今年は撤退傾向にあるとコリアーズは述べた。 取引物件の内訳で最も取引総額が高かったのは、リゾート/ゴルフの物件7件で、総額18億ドル。賃貸住宅やアパート等の多家族住宅が35件で6億5200万ドルだった。小売店物件は27件で、3億7500万ドル、工業物件が30件で1億4900万ドル、空き地が7件で3900万ドル、オフィス物件が11件で3800万ドルと続いた。
(日刊サン 2018.08.21)