京都長岡天満宮拝殿
日本最古の書物と言われる「古事記」。天地開闢(かいびゃく)の始めから推古天皇(在位592~628年)までに至る、いにしえの日本の物語が記されている重要な文献だ。その「古事記を読む」勉強会が、日蓮宗のホノルル妙法寺で5月からスタートしている。
勉強会の講師を務めるのはハワイ出雲大社の神職・宮坂純氏だ。 一方、ハワイで101年の歴史を持つ木曜午餐会も、12月12日にマキキ聖城キリスト教会において、世界各地で朗読会を続けている荻野恵美子さんを迎えて「日本から世界へ~平和の学びを日本の神話から」と題した朗読会を開催する。
物語の教えが平和な世界を築くと感じ、伝承をスタート 荻野さんが古事記朗読の活動を始めたきっかけは、1995年に起きた阪神淡路大震災。「震災で迷い悩む人々を見て、母から素晴らしいお話だからと授かった古事記をラジオで朗読したところ、心が優しく癒されました。生きる勇気が出ましたなどと反響を浴び、日本に伝わる素晴らしい伝承物語の教えが世界の人々の心を豊かにし、平和な世界を築く事が出来ると感じ、各地に伝承することを始めました」という。
今回のハワイ公演に関して荻野さんは「各国各地での神話の朗読公演の招致を受けて感じる事は、海外にいらっしゃる日本人または日系人の皆様が、祖国の大切な伝承物語を再確認して自身が日本人である誇りを持ちたいと言う気持ちが、日本の国にいる人々より強いこと。今の日本では日本語すらまともに扱えない人達も少なくない世の中です。私達の大切な言語、素晴らしい日本語、大和言葉、言霊(ことだま)と共に神話を伝えるのが私の使命だと思っています。国内はもとより、海外でも広めたいと呼ばれるところへは時間の許す限り参りたいと思っております」と多くの人が朗読会に参加してくれるよう期待を寄せている。
神話朗読を通じて世界の平和に 荻野さんは、これまで伊勢神宮の外宮で国歌斉唱に添えて「天地創造物語」の朗読ほか、淡路島にある日本最古の伊弉諾(いざなぎ)神宮では「国生み神話」など、また海外では2017年西オーストラリア州パースで兵庫県提携姉妹都市35周年記念祝賀会で。2017年イタリアのダマヌール神殿にて。
また2018年ブラジル移民110周年記念式典に兵庫県使節団としてサンパウロにて日本人県人会で。2019年広島原爆の日・平和の祭典では「新地球創世物語」として、それぞれ古事記を朗読してきた。現在は、日本在住のフランス人画家マーク・エステル氏の古事記画に依頼を受けて子どもたちにも伝わる古事記物語執筆、ナレーションDVDを制作中。荻野さんの活動についてはhttps://www.kotodamavoice.com をご参考ください。
(文 新名 瑛)