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ハワイ不動産ニュース:ハウジング・ファースト計画、第1号の不動産を取得

ホノルル市がホームレスに住宅と支援サービスを提供する目的で設立した『ハウジング・ファースト』プログラムが初めて住宅物件を取得した。ワイキキ市内の436エナ・ロードにある建物の33ユニットのうち20%がプログラム対象物件になる予定。

 

市の発表によると、現在この8階建てのビルに居住している12人に対して退去は求めないという。しかし最終的にはビルの60%のユニットを、エリア中間年収60%(1人世帯で4万9020ドル、2人世帯で5万5980ドル)以下の世帯へ提供することを目指している。建物は個別のバスルーム付きスタジオタイプのユニットと共有キッチン・スペースで構成される予定。市は、住み込みで2階のスペースで社会福祉サービスを提供し物件の監視と管理を担う機関を探している。ワイキキ近隣委員会はこのプロジェクトを歓迎しているが、昨年発表された1506ピイコイ・ストリートの低価格住宅計画には周囲の住民から懸念が寄せられた。歴史的にみてもワイキキのコミュニティはホームレスの住宅問題を常に支援してきたわけではない。ハウジング・ファースト計画は当初アイナハウ・ビスタIIも対象に検討されていたが、コミュニティの反発により低収入の高齢者向け住宅に変更されている。

 

ワイキキ近隣委員会の委員長ボブ・フィンレー氏は市や州の主張するホームレス対策を聞き入れた上で「私達は賛成するけれど近くに来られるのは困るという態度はとらないと決めました。低価格住宅を支持します」と語った。人口調査の結果では、ここ9年間で初めてオアフ島のホームレス人口が減少した。市長政策室で住宅ディレクターを務めるマーク・アレキサンダー氏は、低価格住宅提供数の改善と市のハウジング・ファースト政策、早期再入居基金の成果だと述べた。オアフ島全体のホームレス人口は減っていても、ワイアナエ・コーストやワイキキを含むイースト・ホノルルでは増加している。ワイキキ近隣委員会のメンバー、キャスリン・ヘンスキー氏は、ワイキキでホームレスが減らない理由として、一般的な2ベッドルームの家賃が2500ドル以上もする上に低価格住宅が少ないからだと語る。

 

「ハウジング・ファースト・プログラムはコミュニティにもホームレスの方にも利点があります。ホームレスの方は住宅を手にすればコミュニティとの関係を構築するようになり、私達も彼らを受容することが出来るでしょう」と同氏。カーク・コールドウェル市長はワイキキのプロジェクトを、市が広く推進している低価格住宅政策の一環だと語る。市は2016年に6件の低価格住宅計画を樹立し、477人に住宅を提供しているカハウイキ・ビレッジ・プロジェクトにも協力している。市はエナ・ロードの物件のためにコミュニティ開発一括補助金(CDBG)から750万ドルを拠出。マッカリーとモイリイリ近辺にも低価格住宅を提供するためヤング・ストリートの30ユニットやシトロン・ストリートの34ユニットも計画されている。市の土地管理課ディレクターによると、2016年と2017年の会計年度で市が低価格住宅に費やした額は6400万ドルで、2018年度に公共交通指向型開発費用として5000万ドルを拠出する予定。市のコミュニティサービス課ディレクターは、様々な市と連邦の資金によって2018年のプログラムや住宅への予算は、昨年の1580万ドルから2290万ドルに増加する見込みだと述べた。市長は市議会に土地管理課予算の補充を求めており、同課に10人を増員させるため110万ドルが必要だと主張している。2018年度の予算では1万ドルしか充てられておらず、ディレクターと秘書の月給しか賄えない額だった。

 

(日刊サン 2018.05.19)