ダウンタウンで最大のオフィスビルである25階建ての「ビショップ・プレイス」(1132 Bishopとも呼ばれている)を中所得者用の賃貸アパートに改築する計画が2月12日に発表された。
このビルの所有者のダグラス・エメット社は、数年の工期と8千万~1億ドルの工費をかけ、約500戸のアパートに徐々に転換し、最初の入居は来年になる予定。この計画は、ホノルルのビジネス中心地区に住宅を増やし、慢性的に高いオフィスの空室率を引き下げると期待されている。同社のジョーダン・キャプランCEOは、ハワイでは労働者向け住宅が不足しており、このプロジェクトの計画と認可を急ぎたい、と述べた。カーク・コールドウェル市長はこの計画を歓迎し、低~中所得者用の住宅が慢性的に不足しており、同様な住宅を増やす必要がある、と語った。
ダグラス・エメット社によると、計画されている賃貸用のスタジオ、1寝室、2寝室のユニットは、ホノルルの中間年収の80パーセント~120パーセントまでを対象とする。現在の中間年収を基準にすると、低所得者用の月額家賃はスタジオで1,634ドル以下、1寝室で1,750ドル以下、2寝室で2,100ドル以下となる。また、高所得者用の月額家賃は、スタジオで2,450ドル、1寝室で2,624ドル、2寝室で3,150ドルとなる。単身者の年収制限額は、低所得者で6万5360ドル、高所得者で9万8040ドル。4人家族の場合、それぞれ9万3280ドルと13万9920ドルとなる。
商業不動産仲介会社のCBRE社によると、昨年末時点のダウンタウンのオフィスの空室率は18.5%で、前年同期の過去最高記録の19%とほぼ同レベルであった。CBRE社は、空室率を減らし賃料を上げるために、複数のダウンタウンのオフィスビルを他の用途に変換する計画が検討されている、と述べた。
ダグラス・エメット社は、「モアナルア・ヒルサイド・アパート」などの住居用アパートのほか、ダウンタウンでは最大のオフィスビル所有者でもある。「ビショップ・プレイス」の他、「ハーバー・コート」、2棟の「ビショップ・スクエア」、ワード・アベニューの「ホノルル・クラブ」を所有している。同社によると、約49万平方フィートの賃貸スペースを持つ「ビショップ・プレイス」の稼働率は70%台半ばである。
「ビショップ・プレイス」は1992年に建てられ、最大のテナントの名を取り「ファースト・ハワイアン・タワー」と命名された。しかし、同銀行は後にキング通りとビショップ通りの交差する地点に自社ビルを建設し、退去した。その後同物件の所有者は何度か変わったが、現在の所有者のダグラス・エメット社は2004年に、地元の投資家から約1億1,500万ドルで同物件を買収した。
(日刊サン 2019.02.23)