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タイムシェア型物件、53億ドルの経済効果

 近年ハワイではタイムシェア型物件が年間10億ドル以上を売り上げている。タイムシェア業界の雇用や消費額が観光業界へ与える影響力について新たな調査がなされた。

 

 ワシントンD.C.を本拠地とする事業者団体で、地元タイムシェア業界を代表する団体ARDAインターナショナルが10月18日に発表したレポートによると、昨年ハワイのタイムシェア運営業者は約1万の雇用を生み出し、物件に1億7100万ドルを消費。税金1億9400万ドルを州と郡に納めていることが明らかになった。

 

 昨年ハワイのタイムシェア物件を利用した旅行者の、滞在費用を除いたバケーション中の消費額はおよそ13億円で航空運賃が多くを占め他に外食、衣料、エンターテイメント、レンタカー、ガソリン、食料品等に費やされていた。およそ1万の雇用の内訳は、8115人はリゾート運営、1836人は販売とマーケティング、52人が管理職だとされた。

 

 レポートによれば、昨年ハワイのタイムシェア業界が与えた全体的な経済効果は、およそ53億ドル、3万1727人の雇用に及ぶという。この数字にはタイムシェア物件開発業者と物件所有者による消費額と雇用はハワイ経済にはあまり関連しないと考えられている。

 例えば、漁師が獲れた魚を地元のスーパーマーケットに売る事もあれば、空輸してケータリング業者に売る場合もあり、業界が商品に消費した額全てがハワイ経済に直結する訳ではない。

 

 タイムシェア業界が昨年ハワイ経済に直接貢献したとされる額は合計32億ドルで、タイムシェア物件のメンテナンス費用6億9400万ドル、物件レンタル利益5億8900万ドル、物件利用客の消費額3億7800万ドル、販売とマーケティング費用3億5000万ドルが含まれている。レポートによると、タイムシェア物件運営者が昨年新しい物件に消費した額は1億1200万ドル、改修費用として消費された額は5700万ドルだった。ARDAの推察によれば、旅行者だけではなくハワイ州内のおよそ4124世帯がタイムシェア物件を所有しているという。

 

 州の経済産業開発観光局(DBEDT)の発表では、2015年に滞在中にタイムシェア物件を利用した旅行者は80万8000人。そのうちタイムシェア物件にのみ滞在したのは62万6000人とされた。アソシエイツ・ホスピリタリティ・コンサルティング社代表のキース・ヴィエラ氏は、開発業者は新しいホテルよりも投資額の回収が早いタイムシェア物件を好むと語る。典型的なタイムシェア物件は1年のうちの1週間単位で販売。所有者が管理費と物件改修費を負担し、運営者は空いているユニットをホテル客室のようにレンタルし収益を上げられる。

 

 ヴィエラ氏は、タイムシェア物件利用者がホテル滞在費を消費しない分、休暇中の消費額が多い点にも触れた。ARDAのレポートによれば、タイムシェア物件利用者は昨年滞在中に平均1197ドルを消費。ハワイ旅行者の宿泊先としてタイムシェア物件が占める割合は2003年時には全体の8%だったが、2008年には10%、昨年は13%に伸びている。DBEDTの発表によれば、2015年にハワイを訪れた旅行者が最も多く宿泊したのはホテルで全体の62%、次いでコンドミニアムが18%。タイムシェア物件は9%であり、友人や親せきの家と同じ比率となった。

 

(日刊サン 2017. 11. 4)