ハワイ最大の電気通信事業者ハワイアン・テレコムの株主が7日、シンシナティ・ベルによる約6億5000万ドルの買収を承認した。
9月26日の時点で株式発行数のうち86.2%はハワイアン・テレコムが所持しており、株主投票では99.8%が売却に賛成。ハワイアン・テレコムの株主には1株当たり現金30.75ドルか、シンシナティ・ベルの普通株1.6305株、または現金18.45ドルと普通株0.6522株との交換が提示された。結果的にハワイアン・テレコムの株主に支払われた内訳は現金が60%、普通株が40%。1株あたりの提示額は、買収が発表される直前7月7日時点でのハワイアン・テレコムの株価24.44ドルに26%が増額されている。合併完了後は全株発行数のうち約85%をシンシナティ・ベル株主が所持し15%をハワイアン・テレコム株主が所有する体制となる。
両社は当初7月10日に発表されていた買収契約を2018年後半には締結する予定だと発表。締結までには連邦通信委員会、ハワイ公益事業委員会、州の商業消費者問題局ら規制当局の承認が必要となる。現在は、連邦商取引委員会と法務省によるハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法(合併事前届出)の審理期間を通過したばかり。
シンシナティ・ベルCEOのリー・フォックス氏は、ハワイアン・テレコムの買収はシンシナティ・ベルの伝統的な通信キャリアからの脱却を図る拡大戦略の一つと話す。同氏は自社の第3四半期1億3800万ドルの赤字を報告した後に「この合併で運営規模と光ファイバー回線中心の業績を拡大させ、光ファイバー需要を活用して利益を上げます」と述べた。
ハワイアン・テレコムが7日の株式市場閉鎖後に発表したレポートによると、第3四半期は現金以外の税負担費用8940万ドルを始めとする合計9270万ドルの損失を計上し、1株当たり8ドルの損失、5四半期連続の赤字となった。前年の同四半期は279000ドルの赤字で1株あたり2セントの損失であり、一時的な巨額出費を除けば今年の第3四半期は330万ドルの赤字で1株当たり29セントの損失だったと見込まれている。売上は9100万ドルで昨年の9780万ドルから7%減少した。ハワイアン・テレコムの第3四半期のTV事業は1110万ドルの収益を記録し前年比5.9%上昇、視聴契約者は44300人となり11.4%増加した。対照的にインターネットサービス事業は660万ドルの収益で前年比5.9%の減少、固定電話回線の収益は1590万ドルで12.1%の減少となった。
(日刊サン 2017. 11. 18)