コールドウェル市長は11月1日先例を破り、ホノルル高速鉄道建設資金80億ドル強の一部の4,400万ドルを市の一般財源から供出する法案(42号法案)に署名した。これにより、市は鉄道建設のための管理費を最大で2億1,200万ドル供出することが可能になった。 連邦交通局(FTA)および州議会は2006年、鉄道建設には連邦・州の資金だけしか使用できないと決定したため、ホノルル市が同決定を覆し市の資金を使えるようにしたものである。 FTAは、数年前まで52億6,000万ドルと見込まれていた費用総額の内15億5000万ドルの供与に同意していたが、予算が膨らみ完成が遅れている同プロジェクトのバックアップ計画案の提出を求め、その提出まで7億4,500万ドルの供与を中断している。また、FTA は11月20日までにこの市の4,400万ドルの資金供出を確定するように求めていた。
同市長は、昨年認められた2030年までの一般間接税(GET)の0.5%暫定引き上げの期間をさらに延長すれば、予算オーバーの状態は解決する、さもなければ固定資産税の引き上げが必要になる、と主張している。 市政府は、11月5日に4,400万ドルの財源をどのように確保するかを発表する。市議会の追加承認が必要とならない、短期のコマーシャル・ペーパーによる借入れになるだろう、と同市長は述べた。一部の市議会議員は、約1億ドルの緊急財源からの供出を提案している。市政府は、それ以外に、2019年の一般予算の前倒し案、未払い・未確定予算を探し出すという案も検討している。しかし、緊急財源の使用は市の債券信用度にマイナスの影響を与え、予算の前倒し・予算項目の変更は各機関の予算執行に大混乱を与える可能性がある。また、市議会の承認が必要で、さらなる遅延を引き起こすと同市長は語った。
市長は、政治的理由から同法案の裁決を遅延させ、市の費用や支払利息を増加させたとして、予算委員会のトレヴァー・オザワ委員長を批判した。オザワ氏はFTAに対する4,400万ドル供出の約束を反故にしたので、マーティン市議会議長は、同法案の審議をオザワ氏の予算委員会から立法審議会に移管した、と市長は述べた。 10月30日の市議会の裁決では、オザワ氏は反対票を投じマーティン氏は賛成した。 オザワとマーティンの両氏は、市長の主張に異議を唱え、問題を政治化したのは市長であると反論した。 オワザ氏は、同氏は4,400万ドルを供出するというFTAとの約束を守った、鉄道資金に固定資産税を使う事は絶対反対である、市長は4,400万ドルの財源を明確にしていないためFTAは市議会に同法案を可決するように働きかけてきた、と主張した。 マーティン氏は、オザワ氏が4,400万ドル供出のFTAとの約束を守ったことは認めたが、15億5,000万ドルのFTA資金を失うリスクを避ける為に42号法案に賛成した、と述べた。
(日刊サン 2018.11.10)