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クアロア・ランチ事業の拡大を計画

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 アクティビティと景観が人気の牧場が事業拡大のため、市へ営業制限の緩和と許可を求めている。

 オアフ島ウインドワードにあるクアロア・ランチが、建物の新設と駐車スペースの増加、営業時間の拡大、受け入れ観光客と娯楽用車両保持台数の上限の増加を要望。家族経営のこの牧場は、拡大のための予算を440万ドルとし、環境や農業運営、地域には大きな影響を与えないと見込んでいる。

 ホノルルのデザイン事務所G70のプランナーで、クアロア・ランチのコンサルタントを務めるジェフ・オバートン氏は「大規模計画ではありません。小さな前進といったところでしょう」と話す。しかし、拡大計画の実行には公聴会や市の許可が必要。1985年、農地内に建設された小規模な観光客向け施設として許可された同牧場の拡大に対して、懸念が高まることも予想される。

 クアロア・ランチの拡大計画は昨年末に公開した環境影響評価書によって明らかになった。牧場が提案している変更が許可されれば、過去30年間進化を続けて来た観光施設には大きな変革となるだろう。 クアロア・ランチは当初4000エーカーで食用牛の飼育、穀物の生産、乗馬体験の提供を行っていたが、多様性と利益を追求し観光施設の運営を開始。カメハメハ大王3世から1850年に土地を購入したゲリット・P・ジャッド氏の子孫が経営を続けている。

 市の計画委員会は1985年に、全天候型車両の乗車や射的、ヘリコプター・ツアー、スキューバ・ダイビング、ジェットスキー、ウィンドサーフィンなどを含む屋外の娯楽アクティビティを提供できる特別使用許可を認めた。

 当時のクアロア・ランチ代表は、交通渋滞の悪化を避けるため月曜~金曜まで午前10時から午後3時までの短い営業を申請。平日の「アクティビティ・クラブ」利用者は20〜100名と想定され、牧場内のトレイル・ツアーに使用する全天候型車両は10〜20台を所持すると申し出ている。

 当時、牧場は市に対して「アクティビティ・クラブは限定された時間や設備で民間組織が運営するため、与える影響は最小限に留まるでしょう。地域住民の方の迷惑とならないよう、受け入れる利用客やアクティビティの種類、営業時間を注意深く管理します」と述べている。

 1985年当時の公聴会でも一部の地域の住民から交通渋滞を心配する声が上がったが、牧場側は制限を設けると繰り返した。カハルウ近隣委員会は計画を支持したが、提案された制限の拘束力については懸念を表明。最終的に市の計画委員会は、利用客の受け入れを1日100人まで、全天候型車両は20台までに制限し、提案された営業時間内に留める条件で運営許可を与えた。この条件を変更したい場合には、公聴会の開催と委員会の許可が必要になる。これまでにライフル射撃やダイビング、ジェットスキーが廃止され、近年はジップラインやアスレチックが追加されるなど小規模な許可変更が行われてきた。

 現在、牧場の従業員は270名。1400エーカーで500頭の牛を飼育し、穀物を栽培、100頭の馬を飼養、養殖池ではエビ、ナマズ、ティラピアを育てている。しかし環境レポートによれば、利益の90%以上はツアー事業で生み出されているという。

 今回のクアロア・ランチの拡大計画は、13の建物の新設が提案され、アクティビティ関連の構造物の面積を50%以上増加させる内容。新設が計画されている建物の中には、映画『ジュラシック・パーク』や『50 First Dates(邦題:50回目のファーストキス)』の撮影現場や、古代の養殖池等を巡るツアーのための施設が含まれている。また最大150人に料理体験を提供するファーマーズ・マーケットや、新厩舎、牧場で育てている野菜や果物の品質を向上させる施設が計画されている。

 牧場は、より多くの利用客を受け入れるためメインのアクティビティセンターの営業時間を午前7時30分から午後8時に延長させたいと提案。さらに1日の利用客と娯楽用車両の所持数への制限の撤廃も求めている。同牧場は「環境保護と農業生産性、商業の屋外娯楽事業のバランスが重要であると痛感しており、牧場の管理がバランスの維持に最適であると感じています」と述べた。

 コオラウロア近隣委員会のメンバー、キャスリーン・マットゥーン氏は、牧場はこれまで地域の懸念に対応してきたと話す。牧場が施設の拡充を望むのは理解できるが、計画の詳細を確認してからコメントしたいと述べた。

 牧場の報告書とパブリックコメントの募集に関してはhttp://808ne.ws/2Cqk3Tuから確認できる。パブリックコメントの受け付けは1月22日まで。

 

(日刊サン 2018. 1. 13)