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キラウエア火山の溶岩動向予測をより精密にするための調査

Bynikkansan

7月 3, 2015

ハワイ火山観測所の地質学者は、プナ地区の下方に向かって、新たに2000度の溶岩が流れれば、そのサンプルからより精度の高い予測ができるかもしれない。

 

溶岩の観測は6月27日でちょうど1年を迎えた。今年の3月以来、住宅街を脅かすような動きはない。

 

それにも関わらず、地質学者のフランク・トラスデル 氏は、何千枚ものスライドを分析し、水晶を一つ一つ数えている。

 

「我々は、すべてのサンプルを手に入れ、化学分析に回しています。科学の核心に迫る調査をしています。」
トラスデル氏は、溶岩流の温度が変化したのか、もしくは斜面を流れていったことで、化学反応が起きたのかを解明しようと試みている。

 

ある変化によって、溶岩の粘着性が増え、動きを鈍くした可能性があり、それが原因で、噴火口から約14マイル地点の住宅街の手前で停止したと考えられる。

 

 

「そこには斜面を進んでいく溶岩を止めるような、目に見えない壁は存在しません。」

 

 

2014年6月の噴火ではプウ・オォ山の火口から最初の溶岩が流れ、海のそばまで止まることなく数マイル以上流れていった。

 

 

調査隊は、溶岩がどのくらい遠くまで流れていくのか予測することができなかった。溶岩の変化をさらに理解することで、なぜプナの場合は流れが短くすみ、あの場で止まったのかを解明できるだけでなく、科学者たちが今後の噴火による打撃を予測できるようになる。

 

「リアルタイムでサンプルを手に入れることができれば、結晶化度を調べて、溶岩の粘着性を判断することができます。その分析がすすめば、溶岩がどれくらいの距離をすすむのか情報を提供できる可能性があるかもしれません」と、トラスデル氏は語り、「ただ実際にそこまで到達するには、まだ時間がかかりそうです」と付け加えた。

 

溶岩の温度、ガス含有量、噴火出力、溶岩洞の漏洩度、溶岩がどのような地形変化をもたらすか等を含んだ要因が、溶岩流の動向を決定づける。

 

プウ・オォの火口から流出が続くのかも不透明で、再度流れ始めたら、複数の道を流れる可能性もある。

 

現段階では、今後の動向を見守るしかない。

「これらの溶岩の流れは、今後数年に亘り、この地域で活発になる可能性もありますし、なんとも言えません。ただ明確に言えるは、差し迫った事態は今のところないということです」と、火山観測地質学者のティム・オァー氏は語った。