ハワイ地域開発局(HCDA)の委員会メンバーは6月13日、低価格住宅建設に関する規則の最終改正案を承認した。
この改正案には分析や公聴会に4年の歳月が費やされていたが、昨年9月に可決された前回案はデービッド・イゲ知事により1月に却下されていた。イゲ知事が前回案で問題視していたのは、低価格住宅のオーナーが住宅を売却した場合に、HCDAが買い戻す権利を30年間持つという内容だった。HCDAは買い戻した後に別の中間収入層の世帯に住宅を再販売することが可能となり、当初のオーナーが低価格で手に入れた住宅を短期間に市場価格で売却することを防ぐ。しかしイゲ知事は30年という期間が極端であるとし、開発業者の建設意欲を妨げると指摘。現行規則では5年間である買い戻し期間を、10年に延長するのが妥当であると表明した。HCDA委員会は13日、買い戻し期間を10年間に設定した改正案を可決。低価格住宅問題の言論団体であるハワイ・アップルシード・センター・フォー・エコノミック・ジャスティスは30年間の買い戻し期間を求め続けていた。「カカアコの低価格住宅の在庫数を維持する為には30年間という期間が重要です。60年や99年と設定している法的機関も多い中、妥当で効果的な期間です」と書面を提出している。一方、ハワイの地主や開発業者を代表する団体ランド・ユーズ・リサーチ・ファウンデーションはイゲ知事の意向を支持。「30年間の買い戻し期間は、住宅物件の販売数に悪影響をもたらすと示されています」と述べた。買い戻し期間の制限に関わらずHCDAのプログラムで低価格住宅を購入した人は、売却する際に当初の物件価格からの値引き率と同等の価格をHCDAに払い戻さなければならない。他にも今回の改正案の大きな変更点として、低価格住宅の購入および賃貸の平均価格を低下させ、低価格賃貸価格の維持期間を延長させた。またコンドミニアム・タワーのような大規模な住宅を新規に建設する場合、20%をホノルルの中間年収140%(1人世帯で9万4100ドル、4人世帯で13万4400ドル)以下の住民に提供するよう求めている。これらの住民に対する住宅販売価格は最高で1人世帯55万3100ドル、2人世帯で63万1600ドル、4人家族で78万9300ドルまでと制限された。また低価格住宅は中間年収140%以下の世帯が購入できるが、低価格住宅の平均販売価格は平均年収120%以下世帯を対象として設定される。コンドミニアムの平均価格は1人世帯で47万4100ドル、2人世帯54万1400ドル、4人世帯67万6600ドル前後となる。賃貸価格も同様に中間年収120%以下を対象に算出され、賃貸価格の維持期間が現行の15年から、30年までに延長された。新しい改正規則は、許可済みの計画やマスタープランには適用されない。カメハメハ・スクールの「アワー・カカアコ」やハワード・ヒューズ社のワード・ビレッジ計画は計画の有効期限である2024年までは新規則の適用対象とはならない。
(日刊サン 2018.07.10)