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オヒアレフアを襲う植物病ハワイ島自然保護区にも 2017年4月12日(水)

数千本以上の自生樹木を枯らしてきた、真菌性の植物病がハワイ島の貴重な自生林にまで感染してしまった。合衆国魚類野生生物局によると、科学者がハカラウ・フォレスト国立野生生物保護区でラピッド・オヒア・デス(ROD)と呼ばれるオヒアレフアの木を枯らす植物病の発症を確認した。

科学者は、ケラトシスティスという真菌によりオヒアレフアが枯れた結果、一般的な野性鳥類が絶滅危惧種になった過去の事例を挙げ、RODが脅威であると話す。「多数の生物がオヒアレフアに頼っているのです」と、ハワイ大学の森林官であるJ.B.フライデイ氏。

ハカラウ・フォレストのプロジェクト・リーダーであるジム・クラウス氏はオヒアレフアの木はハワイ島の自生林の基盤であり、州全体の自生林の礎であると話す。例えば、ハワイ固有種の鳥、ベニハワイミツスイはオヒアレフアを食料として繁殖している。カワリハシハワイミツスイも、ハワイ固有種の鷹ハワイノスリも、ハワイコウモリのオーペアペアも同様であり、他にも数種の絶滅危惧種の植物や昆虫がオヒアレフアと共生している。野生生物局の広報担当であるメーガン・ナイゲル氏は、ハラカウ・フォレストでRODに感染した範囲はまだ不明であり未だ調査中だと述べた。

 

RODの原因が真菌だと判明して以来、ハワイ島におけるRODの予想感染範囲は2014年の15,000エーカーから50,000エーカーに拡大した。カブトムシが真菌のキャリアとなって木に穴を開け、ROD菌によりオヒアレフアの脈管系が詰まり、水分を木の上部まで運べなくなる。感染したオヒアレフアは一部の枝や上部全体が枯死してしまう。フライデイ氏は、科学者が感染の拡大を止める方法を模索しているがRODに有効な抗菌剤はまだないと話す。州と連邦の当局は、樹皮の損傷を避けることが胞子の飛散を防ぎ、感染を抑制する可能性があると述べた。感染を予防する為、感染した木の樹皮が脆かったり昆虫が存在する場合には、その木を伐採した後、タープで木をくるむよう推奨されている。当局はさらに感染の拡大予防策として、靴底や道具、器具等についた土を洗い落とし、消毒用アルコールをスプレーして真菌の胞子を殺菌するよう提唱した。