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イゲ知事が低価格住宅規定改正案を却下

デービッド・イゲ知事が、9月に提案されたカカアコの低価格住宅規定を承認しなかったことが判明した。知事は1日、ハワイ地域開発局(HCDA)が低価格住宅の在庫を維持する目的で設けたルールは行き過ぎであり、低価格住宅の供給量を減少させる恐れがあると表明。知事が1月24日にHCDA委員のジョン・ウェーレン氏に宛てた書簡では、HCDAが規定改正案で低価格住宅の購入者から住宅を買い戻せる期間を5年から30年間に延長している点を問題視していると述べられた。

 

この買い戻しのルールはHCDAが他の中間年収層に市場価格より安い価格で住宅を再販売し、低価格住宅の供給を増加させる目的で設けられている。しかし知事が1日に発表した声明では、この規定によって開発業者の新計画への資金繰りが妨げられ、低価格住宅を初めて買う人達のための住宅供給に悪影響となると懸念していると述べられた。

 

ウェーレン氏への書簡でも、ハワイ州の他郡で低価格住宅の供給増加を目的に設けた規定が逆効果となった例が言及されている。知事室の広報官シンディ・マクミラン氏は、マウイ郡が2006年から2014年まで施行していた25年間の買い戻しルールの結果、その間の低価格住宅の販売実績は3件のみだったと話す。カウアイ郡は現行20年間の買い戻し期間を定めているが、開発業者から新しい低価格住宅が全く供給されていない。知事は書簡で「住宅の供給量を増やすことが最優先です。

 

規定改正案は計画を財務的に円滑に進めるために、良心的な規則とコストや損失を相殺する利益のバランスを取る必要があります。現在の建設サイクルや低金利の状況に置いて、私達は低価格住宅の方針でミスを犯すことはできません」と述べた。知事は他州の方針の実績を考慮して、買い戻し期間は10年とするよう検討を進めたいと述べた。

 

HCDAの委員会は、買い戻し期間の設定までに2年間を調査にあて昨年は公聴会を5回開催しており、期間を再検討するまえにイゲ知事の懸念について詳細を聞きたいと話す。公聴会では開発業者は新ルールが低価格住宅の生産に悪影響だと反対し、言論団体と対立。言論団体は収入の制限価格引き下げが十分でないと主張した。最終的に改正案は6対3で票決された。

 

HCDAのルールは、コンドミニアムタワーなど大規模住宅計画の際、物件の20%をホノルルの中間収入価格の140%の年収以下の住民に供給するよう開発業者に求めている。

 

改正案でも中間年収140%以下の世帯が低価格住宅の供給対象であるが、住宅の平均価格の設定は1人世帯43万ドル、2人世帯50万ドル、4人世帯61万ドルと、中間年収120%以下の年収世帯を対象に引き下げられた。低価格住宅の価格は市場価格よりも安価であるため購入者が住宅を売る際に得た利益の一部はHCDAが取得し、このルールは住宅の築年数が何年経っても適用される。

 

HDCAによると、オアフ島の低価格住宅を40万ドルで購入した人が5年後に売った場合に得る利益は約10万ドルだという。HCDAは当初、買い戻しの期間に制限を設けない方針だったが公聴会の意見を検討し30年間の制限を提案した。

(日刊サン 2018.02.10)